平成24年11月28日
県政ながの

 

飯山新高の準備状況について

飯山新高の完全統合まで3年となった。以前にも質問をしているが、子供たちをよりよい環境の中で学ばせてやりたい、この思いで些か細かな部分にわたることもあろうかと思うが、地元にとっては大きな問題であるので、個別の問題について質問をさせていただく。

Q.最初に、現在の飯山高校のグランドと飯山新校のグランドを比べた場合、いかにも狭いという感じは否めない。

平成28年度(現在の小学校6年生が入学する年)には完全統合がなされ、全ての生徒が現在ある飯山北高の地で勉学に励むこととなる。
そして、飯山新校のスポーツ科学科の生徒は専攻種目として野球の授業を行うが、旧二中のグランドは特にライト側が狭く、あと10メートルほど欲しいとお聞きしている。
生徒の皆さんには、公式戦が出来る球場並みの広さのグランドで授業を受け、また、県内外の強豪チームに飯山に来てもらい練習試合を行わせてやりたいと思うのは私だけではないと思う。

山口教育長からは、過去の私の質問に「グランドの使用に際しては、実際に使用する学校の意見を踏まえて必要な改修を講じる。」との答弁をいただいているが、学校側からこのような意見・要望があったか。また、なかったとしたらこの点について、教育委員会においてはどのようにお考えか。


A.(教育長)平成23年度から現飯山北高校グランドとして使用させていただいている飯山市城北グランドは、飯山新高となっても継続使用できると飯山市と協議は済んでいる。
学校の意見、要望としては、新高統合準備委員会を通じて、野球グランドとしての改修があげられているが、隣接する旧飯山市立第二中学校跡地の取得条件や施設間を横断する市道付け替え等、飯山市との協議を踏まえながら、具体化していく必要があると考えている。
今後とも授業での使用を基本に、野球にも使用できるよう学校とも協議しながら平成28年度の完全統合にむけて改修計画を策定していきたい。

旧飯山市立第二中学校の校舎・体育館及び飯山市の給食センターの活用について、これについては完全統合後にはどのように活用するお考えか。


A(教育長)旧飯山市立第二中学校跡地については、学校グランドや体育施設、そして隣接する城北グランドと一体的に活用していく方向で検討している。これについても飯山市の譲渡条件や城北グランドの改修と関連する問題であり、飯山市との協議を前提に学校とも協議しながら検討していく。

生徒の移動中における安全確保について伺いたい。体育の授業やクラブ活動の際に市道を横断しグランドに行くことになることから、その対策についてお伺いを致したが、関係機関と連携して考えるとの答弁をいただいた。現在の検討状況について伺いたい。


A(教育長)警察と協議の上、信号機の歩行者用ボタンの反応を早め、青信号の時間を延長していただいた結果、安全の確保が図られ利便性も向上したと聞いている。

また、ご承知かと思うが、旧飯山市立第二中学校の校舎・体育館の南側には市道が通っている。飯山市が中学校として使用していた時には、この市道は時間による通行規制を行っていたとのことである。
飯山新校として使用する後には、このような通行規制を行うのではなく、飯山市と相談のうえ市道の付け替え等を行い、現場に公道の無い状態にすることこそ生徒の安全が図られ、かつ合理性があると思う。
勿論、県と市のどちらが行うのか、と言うお金のかかる問題となり、話は簡単ではないが、ご検討いただけるか。


A(教育長)城北グランドと旧第二中学校跡地の間を横切る市道について、これまでの市との協議で付近の住民の生活道路となっているため、利用する施設を完全に迂回する付け替えは困難であるという旨の説明をいただいているが、引き続き何らかの方法が無いか、協議を進めていきたい。

学生寮の建設については、平成23年2月定例会でも申し上げたとおり、新校から寮までの距離は2キロメートルを超え、特に冬期間を考えたときには新校舎の近くに新しい寮を建設すべきと考える。山口教育長からは、「寮の必要性ついては認識しており既存の施設の有効利用を含め検討したい。」との答弁をいただいた。約1年が経過したが、検討結果、或いは経過状況はどのようになっているのか。


A(教育長)現在、入寮を前提にスポーツ科学科の生徒の全国募集を行っていることから、飯山高校には男子の静間寮と女子の若葉寮がある。
このうち若葉寮は飯山高校敷地内にあり、新高から遠いこと、静間寮、若葉寮共に入寮者が半数以下である現状、既存施設の有効活用を図るという長野県ファシリティマネジメント基本方針を総合的に勘案し、静間寮を男女共同の寮とする方向で検討中。それにあたっては、施設改修や管理運営体制等に関する課題もあるので、学校からの要望に配慮しながら進めていきたい。

Q  ご承知のように最近の県内の高校野球の公式試合において、両高校はなかなか健闘しており、レベルは確実に上がっている。新飯山高校においても雨天練習場の整備なども考慮し、更なる活躍が期待出来るような環境を作っていただくよう要望する。

寮は高校の敷地の中、又は高校の近くに建設するのが理想と考えているが、説明のような現状を踏まえると検討の結果は理解できないものではない。万やむを得ず検討案で進めるとしても、男女の出入り口、舎監の在り方、また、普通科や探求科の生徒も入寮できるようにするといったことについて、学校側と十分に相談し意見を取り入れて更に検討を進めてほしいと思うが、如何か。


A(教育長)男女共同の寮にするに際しての具体的な課題として、男子と女子の居住スペースを構造的に完全に分離する施設改修が必要と考えている。また、現在、夜間は平日、休日を問わず舎監を配置しているが、配置の無い休日の昼間の体制について検討する必要
があると考えている。
スポーツ科学科が全国募集をしていることから、寮を設置している。これが寮設置の前提であるので、探求科の生徒の入寮については、スポーツ科学科生の入寮状況をみながら今後研究してまいりたい。

Q  今までも申し上げているように、平成28年4月には現飯山高校には高校生がいなくなる。あれだけ立派な施設を遊ばせておくということはもったいない限りである。跡地利用について、その後の検討経過について伺いたい。


A(教育長)飯山市では現飯山高校の跡地を活用して、平成28年度から飯山市立城南中学校を開校する意向であり、旧飯山市立第二中学校跡地と相互に譲渡する方向で協議を進めている。現飯山高校の移転にあたっては、学校運営に支障がでないよう十分配慮しながら、今後とも移転や校舎改修の時期等を含め、双方の詳細な譲渡条件について協議を進めていく。

また、平成26年度からいよいよ飯山新高校の生徒が入学する。普通科と探求科の生徒は新校舎でスポーツ科学科の生徒は現飯山高校で勉学に励むこととなるが、彼らは紛れもない飯山新高校の第1期生である。学んでいる場所は多少離れていても、一つの高校としての管理運営を行うことが必要で、少しでも早くその体制をとるべきと考えるが如何か。
ご承知のように、二次統合後の校章・校歌は現飯山高校のものをそのまま使用し、校舎は現在の飯山北高の跡地に建設される。飯山北高OBは母校の校歌に強い愛着を感じており、このことは、地元に暮す者にとっては極めて微妙な問題である。一日でも早く地元の高校として定着するような手立てを行って欲しいものと思う。
具体的には、1人の校長の下に2人の教頭をおき、事務局も同様に1人の事務長の下に2人の事務長補佐をおき、一人の司令官の下で両校の完全統合の準備を行うことが妥当と考えるが如何か。


A(教育長)飯山2次統合においては年次統合という形をとっているので、平成26年度に新高が開校しても27年度までは飯山北高校と飯山高校が存在する。この2年間は飯山北、飯山両校に校長・教頭・事務長を置き、一方の校長が飯山新高の校長を、他方の校長が飯山新高の副校長を務める。
教頭については、両校の教頭が新高を兼務する形で、事務長については、一方の事務長が新高の事務長を兼務する形で対応してまいりたいと考えている。平成19年度に統合した飯山1次統合校、中野立志館高校、木曽青峰高校もこのような管理職の体制でスムーズに統合が進んだものと考える

Q  縷々お聞きしたが、様々な課題が出てきている。他の学校においても同様のことがあると思うが、統合により教育条件が悪化することは絶対にあってはならないことと考える。更に教育は百年の大計である。
このあたりで再編計画の中間総括をし、課題を精査したうえで次の段階へ進むことが必要ではないかと思うが、いかがか。


A(教育長)第1期長野県高等学校再編計画は、魅力ある高校づくりと高校の規模と配置の適正化の2つを柱として平成21年に策定し、これまで実施した計画が11件、実施準備中の計画が6件、概ね順調に推移している。再編計画を進めるにあたっての課題としては、地域の合意を得る事が困難である、施設整備に多額の予算や長い期間を要したりすることがあることがあげられる。これらの課題に対しては、必要に応じて地域懇話会を開催する等、きめ細かく地域や学校関係者の声をお聞きし合意やご理解を得ながら再編を進めている。現在中間点を迎えたので、その中間まとめを行っている。

教育委員会においては、平成21年6月に第1期長野県高等学校再編計画を決定し、4つの通学区において、高校の再統合や転換、新たなタイプの学校の導入等を行ってきた。そして、計画の決定以来3年を経過している。
現在までの高校再編の進捗状況は、計画と比べどのように進んでいるのか。また、実際に再編計画を実施しての課題も見えてきたことと思うが、どのようなことが発生しそれに対しどのように対応しているのか。

たとえば、県内各地の特別支援学校の高等部が定員をオーバーしてハード面でも、ソフト面でも大変な状況にあると聞くが、このことも高校再編の影響を受けているものと思われるがいかがか。


A(教育長)高校再編がなければ近くの高校に行けたのに、と思われるか方もおられるかも分からないが、例えば、飯山養護学校は知的障害の生徒の教育を目的としており、入学希望者には複数回の教育相談や体験学習を実施し、就学にかかわる要件の周知を徹底している。このように特別支援学校高等部は高等学校とは目的やシステムが異なる学校であるために、生徒数に直接影響はないものと考える。なお、高等学校でも特別支援学級等からの生徒も幅広く受け入れている。

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支援の必要な児童・生徒に対する対応について

Q  11月5日付の県民新聞に、「県下公立小中学校における発達障害の児童生徒―医師等の専門機関の判定を受けている児童生徒―は、過去最多になったことが、教育委員会のまとめから明らかになった。」との記事が掲載された。
平成23年2月定例会において、発達障害児童・生徒への支援について、取り上げた。その際、平成22年度において小中学校の児童生徒が3千7百余人とのことであったが、平成24年度には4千6百余人と千人近くも増えている。
因みに「本県中学生で特別支援学級に在籍する生徒の比率は全国1高く、さらに、そのうちの自閉症・情緒障害の子供たちが占める割合も全国1高い状況にある。」とのことである。
発達障害は、早期の発見と早期支援、そして関係者が連携しての一貫した取り組みにより、障害が悪化せず、複合的障害を負わず、いわゆる個性として伸びて行くことが期待できることから、早い時期から正しく対策を講じることが重要と考える。
教育委員会においては、去る9月13日の定例会で「長野県特別支援教育推進計画」を策定された。~全ての子供が輝き、ともに学び育つ学校・地域を目指して~との副題のついたこの計画は、何を目指しそのためにどのようなことを行おうとしているのか。優しい言葉で端的にご説明を教育委員長にお願いしたい。


A(教育委員長)この計画は長野県特別支援教育連携協議会からの報告に基づき、本県における特別支援教育の推進の方向性を示したもの。具体的には、障害野ある児童・生徒が自立と社会参加に向け、持てる力を最大限に伸ばすこと、できる限り身近な地域で全ての子どもが共に学び、共に育つことを目指している。そのために各学校がひとりひとりの教育的ニーズに応じた教育を展開する体制や、地域の中で幅広い連携と早期から継続した支援が行われる体制を構築していきたい。特に、発達障害のある児童・生徒は、ひとりひとりの特性に応じた適切な指導により、充分個性を発揮することが出来ると考えている。さらに、同世代の友と共に学び、生活することは全ての児童・生徒にとっても個々の違いを認めあい、共に支えあう心を培うと考えている。

Q  今回の計画は、発達障害者支援のあり方検討会の報告書を踏まえての計画と思う。しかし、この計画は、次期長野県教育振興基本計画の個別計画として策定されたものであるという一面も有している。
前回の私の質問に対し「来年度検討する検討会、これは幼児期から学童期、成人期にわたり、ライフステージにあわせ、なおかつ保健、医療、福祉、教育、労働等様々な分野の連携により一貫した支援を行う。その在り方を検討する場としたい。」との知事答弁があった。
医療、福祉、労働等の分野における支援の在り方については、どのように対応されようとしているか。


A(健康福祉部長)発達障害のある児童・生徒に対する主な支援として、医療分野においては小児科医や精神科医による診療、福祉分野においては児童発達支援、放課後等デイサービスにおける療育、労働分野においてはし  障害者就業・生活支援センターにおける高校生への就労相談等の支援を行っている。こうした支援が相互に連携して行われることが重要であることから、県では今年1月にまとめられた「発達障害者支援のありかた検討会報告書」を受け、全年代、全分野における発達障害者支援に精通し、教師等の支援者に総合的な助言を行う「発達障害サポート・マネージャー」を養成し各圏域に配置するなどの体制を整備していきたい。

また、幼稚園・保育園から小学校へ、そして中学校から高等学校へ進学しても、切れ目のない一貫した適切な支援が出来るために個別支援手帳の交付についてお伺いをした。
これに対し当時の桑島健康福祉部長から、「県内の支援者が幅広く使用できるよう、県の発達障害者支援協議会で個別支援手帳の内容や利用方法などを検討し、その普及を図っていきたい。」旨の答弁をいただいた。その後、個別支援手帳の普及の検討はどのようになっているのか伺いたい。


A(健康福祉部長)個別支援手帳は、年代や分野で途切れることなく関係者の間で支援情報の共有や引継ぎを行うことを目的としており、現在10市町村で導入されている。しかし、様式や運用方法が市町村によって異なっており、支援者の間で充分に認識や活用されていないのが現状である。
県としては、市町村を超えて様々な支援者が共通して活用できる様式やその運用方法について検討しているところであり、現在、その試行版を作成し、市町村担当者や発達障害者の家族の会からご意見を伺っている。今後、年度内には実際に使用できるものを作成し、講習会等を通じ県内全市町村や学校等に普及させていきたい。

Q  学校訪問などにお伺いした際、発達支援教育を専門に行う学校を設置して欲しいという多くの要望をうける。
先ほど、村石議員の質問にもあったが、知事におかれては、リーダーシップを発揮され、是非、目標年度の開設に向けて尽力いただくこと、そして、皆から喜ばれるすばらしい学校となるよう、検討の過程を利用者や関係機関に対してできるだけ提供していただき、オープンな検討が行われるように強く要望して次の質問に移る。

議会文教企業委員会では、去る10月18日に都立蒲田高等学校を視察した。平成25年度の学校案内には、「蒲田高校は平成19年4月からエンカレッジスクールとして新たな伝統を育んできました。蒲田高校は全日制課程の普通科の高校に変わりはありません。今までの伝統を継ぎ、エンカレッジスクールとしてさらに魅力的な授業科目や行事を取り入れました。蒲田高校に集まり、自分を鍛え、自分の可能性を伸ばしましょう。」と書かれている。
因みにエンカレッジスクールとは、「基礎から学べる学校です。小学校から中学校まで可能性がありながら、なかなか力を発揮しきれずにいる皆さんのやる気や頑張りを、応援し励ますことを打ち出した学校である。エンカレッジとは、「力づける」、「励ます」、「勇気づける」ことを意味しています。」とのことである。
また、

  • 学習は基礎教育から始まり、着実にじっくり学び直しをすることができます
  • 体験学習や宿泊体験研修を行います
  • 安心して学べる規律ある学校生活を求め、生活指導をしっかりおこないます

概ね、このような特色を持つ高校と紹介されている。
これは高校統合とも関連することであるが、地域の高校が少なくなるということは、蒲田高校のような役割を担う高校を必要とする生徒にとっては大きな問題になるのでは、と考えていた私としても、一つの方法を示すものとして非常に参考になった。
人口減少時代の昨今、地域を支える大切な人材になる可能性をもった若い人を育てることは重要なことと考える。
本県においても、物事に真面目に向き合い、さらに伸びようと頑張り、勤労の尊さと社会性を身に着けた生徒を育てる取り組みについて検討する必要があると考えるが如何か。前向きの答弁を期待しつつ、教育長に伺いたい。


A(教育長)エンカレッジスクールのコンセプトである「可能性がありながら、なかなか力を発揮しきれない生徒のやる気や頑張りを応援し、励ますこと」は、本県の高校にも求められるものである。現在、本県では、魅力ある高校づくりに取組み、エンカレッジスクールで行われている学びなおし、体験学習、地域との連携等についても、各校の実情に応じて行っている。キャリア教育についても昨年度長野県キャリア教育ガイドラインを作成し、生徒の勤労観・職業観を醸成し、社会性が身につくように本格的な取組みを始めた。

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家庭教育について

Q  教育基本法第10条によれば、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう努めるものとする。」とされている。理屈としては将にそのとおりであるが、自分自身を顧みたときに忸怩たる思いがする。
ましてや、現在の社会状況、経済状況を鑑みれば、従来と比べ、置かれている環境や価値観も大きく変わっており、私達の時代と同様な条件のもとにあるという前提で家庭教育について考えることは、中々困難である。
私は、子どもの教育は、まず親の責任であることを十分に踏まえ、かつ、国・地方自治体においては、子育て中の親御さんの置かれている状況を理解して、節度を持ちつつ支援を行う必要があるのではないかと考えている。
同法第10条2項においては「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」と定められている。本県においては、家庭教育を支援するためにどのような施策を講じ、また、これからどのように施策展開を行う計画なのか。


A(教育長)子どもの教育は第一義的には保護者が責任を有するものだが、子は親の宝・社会の宝であり、学校・家庭・地域や行政も含めて、社会全体で取組んでいくことが必要と認識している。PTA指導者研修会事業の中で、家庭教育に関する講座、講演会等を実施し、県生涯学習センターでは、家庭・幼児教育講座を開催する等、研修・啓発活動を中心に実施してきた。
また、乳幼児から青年までを総合的に支援する次世代サポート課や放課後の子どもの居場所をつくる放課後子どもプランを実施している、子ども・家庭課等、知事部局との連携を通し、家庭教育の支援に取組んできた。
今後、現在策定中の第二次教育振興基本計画の三本柱のひとつである「社会全体で共に育み共に学ぶ教育の推進」の中に家庭教育の支援を位置付け、啓発活動を中心に、研修内容の充実を図り推進していく。

熊本県においては、「くまもと家庭教育支援条例(仮称)」の制定に向けた作業を進めている。この条例は県議会において条例策定のための委員会で検討を進め、11月19日にパブリックコメントの募集を終えたところである。
ホームページによれば条例の内容は、「家庭教育の重要性に対する県民の理解と関心を深め、家庭教育の支援に関して基本理念を定め、さらには県の責務や学校・地域などの関係者の方々の役割を明らかにすること等により、家庭教育を支援するための施策を総合的
に推進していくための条例。」とのことである。
知事におかれては、行政が家庭教育を支援する基本理念等を定めた熊本県の条例についてどのような感想をお持ちか。


A(知事)子どもの教育、育つ過程において、家庭教育は大変重要だと考えている。子どもの育ちを学校のみならず家庭・地域様々な主体が連携し、支えていくことも重要だと考えている。
「くまもと家庭教育支援条例(仮称)」は議員提案で提出されていると聞いている。教育基本法10条で家庭教育の支援を地方公共団体が行うこととなっているが、その部分を具体化していくもの。条例案を読んだが、様々な主体の役割が記載されているが、おそらく多くの意見のある部分ではないかと思う。
様々な主体の役割を定めるにあたっては、慎重な検討の上、多く皆さんの理解を得られるような条例にいていくことが重要ではないか。

戦後、日本中が貧しかった頃のある家庭の話である。
父親は毎日建設現場で働き、母親は大勢の子どもを育てていた。高校生の長男は母親の作ってくれた弁当を持ち、元気に学校に通っていた。
ある日、彼は弁当がいつもより軽いことに気づいたが、そのまま学校に向かった。昼食になり、弁当箱を開けてみるとその弁当はご飯が半分しか入ってなく、味噌がご飯の上にのせてあるだけだった。「おかしいな」いつも母親が作ってくれる弁当は、ご飯がいっぱい詰まっており、おかずも入っていたのに・・・何故、母親はこんな弁当を作ったのだろう?
実はこの弁当は父親のものであり、彼は間違えて持ってきてしまったのた。そのことに気づいた彼は、肉体労働をしている父親は毎日この弁当を食べて家族のために働いていたのか・・・自分の食事を減らして子ども達に食べさせていたのか・・・そして母親は、毎日どんな思いでその弁当を作っていたのか・・・そんな両親の気持ちを考えたとき、涙があふれ彼は最後までその弁当に箸をつけることができなかった。そして、彼は「決して親の期待を裏切らない」ことを固く心に誓った。それ以来、彼は勉学に励み、弟や妹の面倒をみながら時間があれば家の手伝いをしながら高校を卒業し、立派な社会人になった。

「親思う心にまさる親心」と言うが、親は子を思い、子は親を思う。
まさに「教育の原点は家庭にあり」と言うが、知事、教育長におかれては、このことを念頭におかれ信州教育の再生・復活に取り組んでいただくよう、心よりお願いし一切の質問を終わる。

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