令和2年6月18日

自民党県議団 宮本衡司

世界的に猛威を振るう新型コロナウイルス感染症の拡大により、我が国においても、累計感染者数が1万8000人を超え、死者数も1,000人に迫るなど、未曽有の非常事態に直面している。

国においては、4月7日に緊急事態宣言を発出し、感染拡大が著しい7都府県に対し、不要不急の外出や都道府県をまたぐ往来の自粛を求める緊急事態措置を講じた。

その後、この措置を全都道府県に拡大するとともに、第1次・第2次の補正予算を編成し、感染拡大の防止や医療提供体制の整備、雇用の維持と事業継続への支援などを強力に推進することで感染の拡大を抑え込み、5月25日に緊急事態宣言を全面解除し、社会・経済活動の制限が段階的に緩和されている。

現在、県内の感染状況は比較的落ち着いているが、これまでの間、県外との往来の自粛や事業者に対する休業等の要請を知事自ら訴えかけるとともに、数次の補正予算を編成し、検査・医療提供体制の強化、県内経済と県民生活の下支え、雇用・就業支援などに精力的に取り組んでこられた。

国及び県のこれまでの努力に敬意を表するところ。

新型コロナウイルス感染症への対応を中心とした今回の補正予算案は、感染第2波に備えた医療・福祉提供体制の更なる強化にはじまり、県内経済の再生、厳しい状況に置かれた事業者や生活に困窮される皆様へのきめ細かな支援、児童生徒の学びの保障に至るまで、県民生活の様々な側面に配慮のされたものとなっている。

また、国の第二次補正予算を最大限活用し、大胆な施策を数多く盛り込んだことにより、6月としては異例の大規模予算となっているが、これら多岐にわたる事業のうち、早期議決を求めるものについての基本的な考え方を知事に伺う。

(知事)今回、新型コロナウィルス感染症への対応として、特に、速やかに着手すべきと考える事業について、早期議決をお願いしている。具体的には、プレミアム付き商品券の販売など消費喚起の取り組みについては、市町村において出来るだけ早く取り掛かってもらう。県外客向けの宿泊割引や観光クーポン券の販売などを、大きな集客チャンスである来月の4連休に間に合うように準備する。収入の減少などに苦しむ、ひとり親世帯に対し、一日でも早く臨時特別給付金を支給することが重要と考えている。このようなことから、早期議決をお願いしている。通常の議決をお願いしている事業との相乗効果により、地域経済の活性化や県民生活の安全・安心につながるよう、鋭意取り組んでいく。

新型コロナウイル感染症の影響により、地域経済を支える多くの事業者が厳しい経営状況に追い込まれながらも、従業員の雇用を守ろうと各種助成金等を活用し、テイクアウトや宅配サービス、オンラインでのサービス提供など、業態の転換や経営の多角化に活路を見出そうと、懸命に努力されている。

知事も各業界の皆さんから様々な要望・要請を受けておられるかと思うが、私どもの所にも「もう限界だ」との悲痛な声が数多く寄せられており、支援の充実が必要。

事業者の窮状を裏付けるように、日銀松本支店や関東財務局長野財務事務所、長野経済研究所などから、県内経済の状況や企業の景況判断について、大変厳しい現状が報告されている。

また、これまでの国・県の対策や医療関係者の皆様の御尽力により、県内の医療提供体制の整備は大きく進展したが、引き続き、県民の命と暮らしを守るため、感染第2波への備えを万全なものとし、感染拡大防止に緊張感をもって取り組むことが求められている。

今後は、地域や暮らしを支える事業者の資金繰りや雇用の維持に向けた努力をしっかりとサポートしながら、各地域での活動を再開させ、冷え込んだ消費マインドを喚起し、地域経済の活性化に取り組むことが重要な局面であると考える。

そうした認識のもと、先月5月20日に行った自由民主党県議団による知事への申し入れの中で、「経済対策」として盛り込んだ「事業者が各種助成金等を申請する際のサポート体制の充実」「飲食・サービス事業者等の新たなビジネスチャンスを生み出す支援の拡充」「県産品の消費拡大」等、要望項目の多くが先般の専決処分予算や今回の補正予算案において具体化されていることを高く評価するものであり、引き続き県のリーダーシップのもと、市町村や商工団体などとの連携を強め、スピード感をもって実行に移していただきたい。

事業のうち、「地域支えあいプラスワン消費促進事業」については、地域の皆さんの消費を喚起することを通じて、県民一丸となって事業者を応援する、との趣旨が示されている。この事業をどのように展開し、地域経済の活性化につなげていくのか、知事に伺う。

(知事)県としては、まずは県内需要の拡大を図るため、県民の皆様の支えあいによる取り組みをお願いしてきた。「信州地域支えあいキャンペーン」については今後も引き続き推進していく。そして、この「地域支えあいプラスワン消費促進事業」についても、こういう観点により、地域住民の支えあいにより事業者支援と地域経済の活性化につなげるため実施をしていこうというもの。
事業実施主体は市町村となるわけだが、市町村の皆様方には地域の実情をよくご理解をいただいているので、急激に需要が減少している等、厳しい経営環境におかれている事業者の皆様方に対するきめ細かな支援となるような対策を行うとともに、冷え込んでいる県内消費を呼び起こすために早期に効果が発現するよう、併せて早い段階での取り組みをお願いしたい。また、これにあわせ「新型コロナ対策推進宣言」の促進など「新しい生活様式」の定着についても、市町村とともに進めてまいりたい。

不要不急の外出自粛や県外との往来の自粛などの影響により、旅館・ホテルなど宿泊事業者は危機的状況に置かれており、観光産業は裾野が広いことから、関連産業全体にマイナスの影響が大きく及んでいる。

近年好調に推移していた海外からの誘客を再開させることは当面困難であり、識者の中には「感染拡大前の水準まで回復するに数年を要する」といった見方もある。

振り返れば、昨年の台風災害による交通の遮断や風評被害、記録的な雪不足によるスキー客の減少に苦しめられた挙げ句、今回の新型コロナ感染症の拡大と、観光関連事業者にとってはトリプルパンチに見舞われた格好。

観光需要の回復に向けた強力な対策を早急に講じ、その効果を観光関連産業全体に行き渡らせることが切に求められる。

失われたインバウンド需要をカバーし、地域の絆を深め、足腰の強い持続可能な地域経済を築いていく上において、「『STAY信州』地域支え合いキャンペーン」のように、地元の皆さんに旅館・ホテルなどを利用していただくことも有効な方策と考える。

また、東京など感染拡大地域を含めた都道府県をまたぐ移動が解禁される流れを捉え、感染防止対策を十分に講じながら、県外からの誘客を図り、本格的な観光需要の回復につなげなければならない。

今回の予算案に盛り込まれた「国内誘客回復緊急事業」では、国の「Go To Travelキャンペーン」と連動した宿泊割引や、本県の強みである自然を生かした観光プロモーションに取り組むとして、9億円を越える予算を計上している。

国の「Go To Travelキャンペーン」の開始が当初の予定より後ろ倒しとなることも懸念されるなか、これまでの取組の成果を踏まえつつ、他の観光地域に負けない強力な事業展開が求められるが、それに向けた方針やスケジュール感について、知事に伺う。

(知事)全国で緊急事態宣言解除された後も首都圏等との往来は、慎重な対応が求められてきた。そのため、これまでは県民の皆様にご協力いただきながら、県民向けの「ふっこう割」事業など県内観光による需要の創出に取り組んできた。
ご指摘のとおり、観光誘客、これは他の地域との競争であり、引き続き、県内での観光を県民の皆様に呼びかけさせていただく事と併せて、今後は、全国的な感染状況を注視しながらも、今月後半から来月にかけて近隣県から全国へと段階的に積極的な国内誘客を展開していきたい。
特に、観光施設における感染防止対策の一層の徹底や豊かな自然を活かした「密にならない安全・安心な観光地づくり」の推進等により、感染リスクを心配する観光客からも「選ばれる観光県」を目指し観光事業者の皆様と一緒になって取り組んでいく。
8月以降は国のGo To Travelキャンペーンが行われることが決定されているので、それまでの間、切れ目のない対策を県としてしっかり講じていくとともに、国のGo To Travelキャンペーンと連動して、連泊を促進する事業や小規模宿泊施設への支援を行い、観光産業を幅広く、またきめ細やかに支援していきたい。
新型コロナウィルスの影響下においても観光県として確かな地位を維持していくためには、これまでの観光戦略についても一部見直しを行うとともに、在宅勤務が一般化した大都市の企業に対してのリゾートテレワークの売り込み等、時流の変化を捉えた対策が必要となってきていると考えている。そのため、有識者のご意見を伺ったうえで「Withコロナ時代を見据えた観光振興方針(仮称)」を来月中には策定し、早急に具体的な取り組みに着手していきたい。

御答弁いただいた通り、今回の予算案に盛り込まれた事業は、いずれも喫緊の課題に対応するために必要なものである。

本議案が議決されたあかつきには、それぞれの事業の効果が出来るだけ早く発揮されるよう、速やかな執行に努めていただくようお願い申し上げる。