平成27年10月1日

自由民主党県議団 宮本衡司

◎北信圏域河川整備計画の推進について

Q 台風17号、18号などの影響による記録的な豪雨により、茨城県では 鬼怒川の堤防が決壊、翌日には宮城県渋井川と、住民の生命・財産に甚大な被害が発生した。被災された方々に、改めてお見舞いを申し上げる。

30年ほどさかのぼるが、昭和57年に台風18号による豪雨で、飯山市の千曲川支川樽川が決壊、翌58年には台風10号により 飯山市の千曲川が決壊し、2年連続して今回茨城県を襲ったものと同様な大規模な家屋の浸水に見舞われた。いつでも、どこでも、起こりうる豪雨に対し、治水対策を含めた防災・減災の重要性を改めて感じた。

千曲川、樽川の被災後は、国土交通省や県により築堤等の浸水対策工事が行われ、住民の不安も徐々に解消されつつあるが、いまだ十分なものとは言えない。

このたび、7月に北信圏域の河川整備計画が認可された。本計画では、「第3章河川の整備の実施に関する事項」において、『洪水時に家屋等への被害が生じる恐れのある4箇所で築堤等の工事を実施する』としている。また、整備を行う計画対象期間は、概ね30年間とされている。

本計画に該当する4箇所のうち、上流に位置する飯山市照岡~馬場地先と下境地先の2箇所については、すでに平成18年7月の千曲川の洪水規模に対応する築堤工事を概ね完了し、本整備計画の目指す昭和58年9月の洪水規模に対応する用地買収をすでに終了していると北信建設事務所より聞いている。

この2箇所については、地元の住民も築堤工事を待っている段階であることから、洪水による人家への被害を最小限に抑えるため、すみやかに工事を実施すべきと考えるが、着手の見通と課題について伺いたい。

A(建設部長)千曲川の築堤工事につきましては、段階的な整備を行っている。第1段階として、平成18年7月洪水と同規模の毎秒6,500㎥流量に対応する築堤工事を進めており、照丘~馬場地先については平成27年度、下境地先については平成28年度の完成を目指している。今年7月に認可された北信圏域河川整備計画では、さらに第2段階として、昭和58年9月洪水と同規模の毎秒7,500㎥の流量に対応する築堤工事を実施することとしている。2箇所とも、第2段階の築堤工事に必要な用地の買収もすでに終了していることから、平成28年度より工事に着手していく予定としている。 なお、築堤に必要な土砂の確保について、関係機関と調整しながら、早期完成に向けて努力していく。

次に、下流側の2箇所、栄村箕作~月岡地先と野沢温泉村東大滝地先については、上流側の2箇所とは異なり、今後詳細な築堤工事の計画を練る段階である現段階での該当2箇所の整備の具体的な予定について伺いたい。

A(建設部長)栄村箕作~月岡地先及び野沢温泉村東大滝地先、
この2箇所については、すでに平成18年7月洪水に対応する毎秒6,500㎥の流下能力を有しているため、北信圏域河川整備計画において、昭和58年9月洪水に対応する毎秒7,500㎥の築堤工事を実施する箇所として新たに位置付けている。今後の予定については、平成29年度から測量及び設計に着手していきたいと考えている。

整備計画中の下流側、箕作~月岡地先については、整備区間内に県道橋である築50年を超える百合居橋があり、築堤に併せ、架け替えが必要と聞いている。また、その上流では、栄村の震災復興事業として、県道箕作飯山線の交通不能区間を、今後、数年程度で新設道路による整備が行われる予定である。
この区間の築堤は、治水上の効果だけではなく、百合居橋を架け替えることにより、国道117号の代替道路の役割を果たす箕作飯山線の機能を最大限に発揮するものと考える。しかしながら、橋の架け替えには、用地の買収を含め、長い期間と多額の費用を要することから、いち早く詳細な築堤計画の作成に 着手していただき、早期の効果発現を期待する。

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◎地域医療構想の策定について

Q 飯山市にある飯山赤十字病院においても御多分にもれず、医師不足が深刻である。住民の皆さんからは「医師のいない診療科が多い。」と言った声が聞こえ、一方病院からは「医師を探しても来てもらえない。」とか「近い将来、大きな設備改修費が必要となる。」と言った話しか聞こえて来ない。つまり、住民としては地元の総合病院として、その期待される役割を果たしてほしい。一方、病院側は、果たしたいのだが、現実は非常に厳しい状況にある、ということだ。
この様な話は飯山だけではなく、県内、特に過疎や少子高齢化の進んでいる地域に共通した課題であり、病院と地元自治体が如何に頑張ろうと解決は非常に難しいものと考える。それどころか、団塊の世代が全て75歳以上となり、高齢化が一段と進む10年後を考えると、何か手を打たなければ、全ての病院の現状維持維持はできないのでは、と不安になる。
県は、10年後の平成37年の医療需要と病床の必要数を推計することを内容とする、長野県地域医療構想(ビジョン)の策定に向けた取り組みを行っており、26年度に1回、27年度には2回の会合を開き構想の検討を進めている。長野県地域医療構想とはどのようなもので、どのようなメンバーで検討し、何時ごろまでに結論を得る予定か。

A(健康福祉部長)地域医療構想は、平成26年に成立した医療介護総合確保推進法により都道府県が策定することとされたもので、2025年にむけ二次医療圏を原則として設定する各構想区域における高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4つの区分ごとの医療需要を推計したうえで、将来必要な病床数と病床の機能分化、連携を進めるための方策を定めるもの。構想の策定に際しては、長野県医療審議会のもとに地域医療策定委員会を設置すると共に、地域の実情を反映させるため、県内10の二次医療圏ごとに地域医療構想調整会議を設置することとしている。これら策定委員会や調整会議には、病院をはじめとする医療関係者、医療保険者、医療を受ける立場の方の参画を得ながら、広範な関係者の皆様の合意形成が図られるよう丁寧に策定作業を進め、平成28年度中の策定を目指している。

Q 現在、県には『第6次長野県保健医療計画~信州保健医療総合計画~』があり、この計画に基づき医療体制の整備を進めていると承知している。しかしながら、今年6月11日に開催された長野県医療審議会に提出された資料によれば、地域医療構想は、医療計画の一部として策定するとされている。医療計画の一部とはどのようなことか、わかり易く説明を願いたい。

A(健康福祉部長)県では平成25年度から29年度を計画期間とする『第6次保健医療計画』において、県内全域に等しく標準的な医療を提供する体制を確保するため、医療機関の適切な機能分化と連携、医療従事者の確保、在宅医療の推進を重視した医療体制の構築に取り組んでいるところ。そうしたなか、国において医療制度改革が進められ、推進法において10年後の地域の医療提供体制のあるべき姿を追記するという形で、医療計画の一分野として地域医療構想を定めることとされた。したがってこの地域医療構想は、第6次の計画が29年度までであるので、次期30年度からの第7次の計画に引き継がれるという形で反映されるものと考えている。

Q 同じ資料の中にある、「地域医療構想の策定プロセスについて」では、「構想の策定を行う体制を整備」から「医療需要に対する医療供給を踏まえ必要病床数の推計」までの流れを提示している。その中で「構想区域」については、二次医療圏を原則としつつ、人口規模、患者の受療動向、疾病構造の変化及び基幹病院までのアクセス時間等の要素を勘案して柔軟に設定、とされている。
二次医療圏は、様々な医療が概ね一通り圏域で提供できることが想定されていることもあり、厚生労働省は、24年度改定の医療計画策定指針では、人口規模が小さく入院患者の医療圏外への流出傾向の強い二次医療圏を、「入院医療を提供する一体の区域として成り立っていない」と見なし、都道府県に圏域を検討するよう促した。
しかし、県においては既に10の二次医療圏が設定されており、この様な医療圏として県内では上伊那、木曽、大北及び北信の4つが該当する。
県は第6次医療計画の中で何れも存続させ、最も人口規模が小さい木曽医療圏においては救急医療、災害時の医療は圏域内で対応し、 周産期医療、小児医療、癌については隣接する松本医療圏の機能を利用するという様に独自の工夫をしながら、医療圏を守っていることは評価すべきことと思う。
今回の構想策定の中でも医療圏の設定については重要な議論の対象となると思うが、出来る限り現在の10の医療圏はそのまま存続させる方向で審議会に諮ってほしいものと思うが如何か。

A(健康福祉部長)県では現行の6次の計画の策定については、全国に先駆けて行った電子レセプトデータの分析等により二次医療圏別に課題を明らかしたが、その際、例えば脳卒中への対応が脆弱で、他の二次医療圏と連携する必要がある木曽、大北、北信の医療圏についても、他の医療圏と統合することなく、当面近隣の二次医療圏との連携体制を設定するとともに、将来的には圏域内での対応を可能にしていく計画とし、その実現に向けて地域医療再生基金等による設備整備等の支援をしている。地域医療構想の策定に際しては、まず、現在の二次医療圏を構想区域として仮に設定して、現状の医療提供体制や医療圏の間での患者の流出入の状況などを分析し、がん・脳卒中に対する医療や救急医療、在宅医療などについて、各医療圏における将来の医療提供体制を検討した上で、その検討結果を踏まえ、最終的にその構想区域を確定する予定としているところであり、あくまでも現在の二次医療圏を念頭におきつつ、構想の策定をすすめるところである。

Q 構想区域の設定後は、区域ごとに医療需要の推計をし、それに対する供給体制の検討なされる。慢性期と回復期は基本的には構想区域内で、また、急性期については一部を除き完結することを想定されており、これを踏まえ必要病床の推計がなさる。
この段階で構想区域ごとの病床数が事実上決定するわけで、構想区域、二次医療圏と言い換えても良いと思うが、これについては県の地域医療構想の決定後、どの病院にどの位の病床数を設定するか、と言う調整を行うと考えて良いのか。また、その時期は何時ごろになるとお考か。

A(健康福祉部長)地域医療構想には、先ほど申し上げたとおり、構想区域間の患者流出入を調整した上で、構想区域ごとの2025年の必要病床数を定めることとなる。構想策定後は、まずは二次医療圏ごとに設置する調整会議において、2025年の構想の実現に向けて、行政や医療関係者等が情報や課題を共有しながら、医療機関において自主的な取組を進めていただきたいと考えている。

Q 県の段階で決定された病床数は、おそらく今より減少すると考えられることから、二次医療圏内での調整は非常に困難な作業になると考える。各圏域でどのような方法で調整を行うのか、その為にどの様な準備をされているのか。

A(健康福祉部長)地域医療構想の実現に向け、地域医療構想調整会議、これは二次医療圏ごとに設定しているが、においては、行政や医療関係者等が、将来の医療需要の変化や在宅医療・介護サービスの状況とともに、現在各病床が担っている医療機能等の情報や課題を共有した上で、それぞれの地域において、効率的で質の高い医療提供体制の構築に向け、医療機関が自主的な取組を行っていくことが基本と考えている。医療機関のこうした取組に対しては、県として、地域医療介護総合確保基金を活用して、医療機関等が実施する病床機能の転換や在宅医療の充実、医療人材の確保・養成に資する事業において、重点的に支援していく。県としては、まずは、こうした医療機関の支援を行うことにより、地域の医療需要に応じた適切な医療提供体制となるよう、2025年に向けて取り組んでいく。

Q 地域医療構想をこのような考え方で進めることは、厚生労働省のガイドラインにも示されている方法であり、止むを得ないことと理解するが、地域の各病院の問題として考えた際には、ここに経営という視点が入ってくる。医師確保は病院経営に関することでもあり、本来、県が直接立ち入る話ではないようにも思うが、何らかの方策をとる必要はあると考える。どのようにお考えか。

A(健康福祉部長)現在、県内の医師不足は依然として深刻で、医師の絶対数の確保が課題となっているが、それに加えて今後、地域医療構想の実現に向けて、病床の機能の分化・連携を進める中で、それぞれの医療機関において、必要とする診療科が変わり、それに伴って必要とする医師が変わることなども想定される。こうした医師の絶対数の確保と、病院それぞれに異なる課題に対しては、県では、現在取り組んでいる信州医師確保総合支援センターにおける事業に加え、地域医療介護総合確保基金の効果的な活用などにより、新たに必要となる医師の確保や、医師が働きやすい環境整備による定着支援についても、きめ細かく対応していく。

Q 地域医療構想の最後のプロセスは10年後の平成37年における、あるべき医療提供体制実現のための施策の検討である。しかし、10年先と言わず、現状を見ても大きな問題があり、県の人口10万人あたりの医師数は、平成24年に211.4人、全国平均と比較し15.1人少なく、医療圏ごとに見た場合には松本が最多で343.5人、木曽が最小の119.6人に留まっている。医師の偏在は大きな問題であり、地域の若者の定住にも支障をきたしている一因であろうかと思う。
目の前のこのような問題に対し、県はどの様に取り組んでゆくお考えか。

A(健康福祉部長)県では、これまでドクターバンク事業や医師研究資金の貸与などにより、県外からの医師確保や地域への定着支援に取り組んできたが、今後、医学生修学資金貸与医師の勤務が徐々に増加していくことから、これらの医師を地域の医師不足病院などへ効果的に配置し、地域における医師の偏在という課題に取り組んでいきたい。
また、こうした点に加え、診療科による医師の偏在も大きな課題である。例えば、若者の定住促進にとって不可欠である安心して出産できる環境を維持・整備するためには、医師不足が深刻化している産科医の養成・確保が必要であり、先月、知事が意見交換した信州大学をはじめ医療関係者の皆さまと連携し、医学部入学時から専門医を取得した後まで一貫して支援することで、産科医師の養成・確保に向けて検討していく。

Q 医師確保の検討を進める一方で、しばらくの間増え続けるであろう、高齢者の健康寿命を延ばすための施策も非常に大切になってくると思うが、審議会において是非とも重点的に検討をいただきたいと重ねて要望する。 ところで、医療・介護の提供体制の改革を推進するため、制度面での改正にあわせ、財政面での対応として、新たに国からの交付金を財源に、都道府県において基金を設立するという財政支援制度を始めたと聞いる。この基金制度の仕組みと、対象事業、本年度基金事業の実施状況について伺う。


A(健康福祉部長)この基金は国の交付金3分の2と県負担3分の1を財源とし、医療分野においては、
1 病床の機能分化と連携を推進するための医療機関の施設または設備の整備に関する事業
2 在宅医療の推進に関する事業
3 医療従事者の確保・養成に関する事業
の3つの事業を対象としている。
今年度の本県の医療分野に関するこの基金については、15億3千万円を当初予算に計上している。しかしながら、国は、昨年度と異なり、基金の内示を7月と今年度後半の2回に分けて行うこととし、第1回目の内示を8億3千万円にとどめた為、現在のところ予算の半分程度の額しか財源が確保されていない状況。また、国において「医療機関の施設または設備の整備に関する事業」に対して重点的に配分した上で、内示に併せて、昨年度は認められていた、先ほど申し上げた3つの事業間での事業費の調整が認められないこととされたため、特に、「在宅医療の推進」及び「医療従事者の確保・養成に関する事業」の実施が困難になっている状況ある。
そこで県としては、全国知事会を通じて、これから行われる第2回目の基金の配分については、都道府県の意向を踏まえて、一つには「在宅医療の推進」及び「医療従事者の確保・養成に関する事業」に重点的に配分すること、二つ目として昨年度と同様に3つの事業間の事業費の調整を認めること、この二点について、要望活動を行った。また、今年度予定している事業については、医療提供体制の充実にむけて真に必要な事業であることから、すべての事業を実施する予定としているが、その場合の財源の不足分は、第2回目の基金の配分や平成26年度基金事業の執行残額で充当することとし、それでも不十分な場合は、それぞれの事業の事業費の減額調整を図らざるを得ないと考えている。

Q 新聞報道によれば、産科医師不足で3月上旬から分娩の取り扱いが休止していた、市立大町総合病院が常勤医2人、非常勤2人を  確保し、10月5日、7か月ぶりに再開されるとの朗報が入った。
ご尽力いただいた知事はじめ、関係各位に敬意を表するとともに、より一層の医師不足対策にお取組みいただきたい。

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◎雪を利用した産業の誘致や起業について

Q 県内では大北の佐野坂と中野下高井の高社山を結んだ線より北側で雪が降ると言われている。冬ともなれば多くの男衆が出稼ぎに行く。これが雪国の当たり前の風景であった。このような暮らしに変化をもたらしたものが、スキーブームであり、飯山市内だけでも多い時には10か所に届かんとするほどのスキー場があり、加えて、多くの有名なスキーメーカーが飯山で創業され、スキー産業の隆盛をもたらした。
また、戸狩温泉スキー場では昭和30年代半ば頃から民宿が始まり、最盛期には100軒を超え、東京・大阪、そして名古屋からの直通列車が多くの若者を乗せて戸狩駅に到着した。山ノ内町、野沢温泉村そして木島平村も同じ賑わいであったと記憶している。しかし現在では、冬季レジャーの多様化、少子高齢化等によりスキー場にとっては従来の方法での経営が困難となり、外国人の受け入れやグリーンシーズンの誘客に活路を見出している。
雪が雇用の場を生み、生活の糧となった時代は過去のものとなり、住民の高齢化等により、再び雪が生活の重荷となる時代になりつつあるのではないか。
先日、栄村のお隣、新潟県津南町にある妻有新聞の8月4日付の記事に、「雪冷熱センター、津南に設置」との見出しを見つけた。これは雪や冷たい水の冷熱エネルギーを利用し、コンピューターを集積するデータセンターが発生する膨大な熱を冷却する「ホワイトデータセンター」を新潟県は誘致を進めており、県内の候補地の中から津南町が選ばれ、来年稼働のデータセンターが設置されることが決まった、というもの。泉田知事が非常に熱意を持って取り組んでおられると聞いている。
雪の利用に関しては、北海道の美唄市が以前から積極的に推進し、昔ながらの雪室の現代版となる農作物の保存施設や、雪貯蔵庫から冷房の冷熱エネルギーを取り出せるマンションなど、実際に雪を利用した施設が10年以上稼働しているそうだ。また、平成26年度よりNEDOの委託事業として除排雪を利用した「高効率熱供給システム」の研究開発がされ、ホワイトデータセンター構想にむけ取組んでいる。

行政は除雪をはじめ、春先には排雪場所に山のように積まれた雪を早く融かすために、莫大な費用をあてている。この雪を冷熱エネルギーとして利活用し、データセンターのような多量の熱を放出し、これを冷却する必要のある産業を誘致・起業する。そうすれば、雪に悩む市町村の振興にも役に立つのではないかと考える。
県としても、より積極的に考えて頂きたいと思うが、雪を利用した産業の誘致や起業、こういったものをどの様に考え、取り組んでおられるのか。

A(産業労働部長)北信地域においては、ニンジンを雪下に埋めて糖度を高めたニンジンを「スノーキャロット」として販売したり、雪室で日本酒を熟成させたりするなど、すでに雪を利用して商品の付加価値を高める取組みが行われており、消費者から高い評価をいただいている。
一方、雪のエネルギーによる冷房利用の取組みは、大量の雪を貯蔵する施設の設置や配管など初期投資が嵩むほか、降雪量が少ない年への備えも考える必要がある。
ご指摘の新潟県津南町などのホワイトデータセンターも、現時点では実証実験の段階にあると聞いている。このように、まだまだ課題はあるものの、雪国として、雪を利用したホワイトデータセンターなどの誘致や独自の特徴的な創業は、産業面にとどまらず環境面でも大変有意義であり、大きな効果が期待される。
県としては、これらの実証実験を参考に、その可能性を見極めると共に、地元地域や企業から提案のあった主体的な試みに対しても、積極的かつ具体的に関わり、ひとつでも多くの成功事例を作っていきたいと考えている。

Q 太陽光、風水力、バイオマス等々、次世代エネルギー源のひとつとして、雪をお考えになっては如何か、知事のご所見を伺う。

A(知事)雪や氷の冷熱を活用した「雪氷熱」の利用は、エネルギー効率の優良性、あるいは地域活性化の観点で大きな可能性を秘めていると考えている。太陽熱、バイオマス熱、温泉熱ともに「グリーン熱」として位置付け、普及促進を図っているところである。
これまでも、山ノ内町の農産物を貯蔵する雪室、あるいは野沢温泉村の防災・避難施設の雪氷熱設備に対して、支援してきている。また、こうした事例を「1村1自然エネルギープロジェクト」に登録して、ノウハウや知見の普及のため、情報発信してきている。
ご質問にもあったように、雪、使い方によっては資源、財産になり、また、その反面、バランスシート上、負債になってしまうという両面もったものだと思う。
豪雪地帯の皆様方、雪と共に暮らしていかなければいけないわけであるので、「地消地産」のエネルギー源として、活用の道を県も一緒に考えていかなければいけないと思っており、また、地域の取組みについても、今後とも積極的に支援していきたい。

昨年2月、思いもよらぬ大雪に、東信・中南信の方々は、大層難儀をされたかと思うが、雪国に暮らす私達は、毎年雪と闘っている。
古来、雪を克服すべく先人たちは、知恵を出し、努力を重ねてきた。知事におかれては、新たな時代における雪の利活用について、ぜひ積極的にお考えいただきますようお願い申し上げる。