アメダス観測地点について

Q このたびの豪雪により県内で8名の方がお亡くなりになった。心よりお悔やみ申し上げる。
県は本年2月1日から小谷村、信濃町、栄村、野沢温泉村及び飯山市の県北部5市町村に災害救助法を適用した。「平成18年豪雪」以来である。これに伴い、「除排雪経費に係る特別交付税の増額」、「3月交付分の特別交付税の繰り上げ交付」等について、国に要望を行っていただいたことに感謝の意を表する。

アメダスは各地域の天候の記録や気象予報を強化していくために、昭和49年11月1日に運用が開始され、降水量、気温、日照時間、風向・風速の4つの気象要素を観測している地点が多く、主に豪雪地帯においては積雪の深さを観測している。しかし、観測地点の設置個所は非常に少なく全国に約1,300か所、また、県内の長野市以北の豪雪地帯に於いては野沢温泉村、信濃町、飯山市、小谷村及び白馬村の5市町村に設置されているにすぎない。

このことについては、平成18年2月と12月定例会において一般質問で取り上げたが、「気象庁に要請したが、観測点設置の要望、趣旨は理解できるが、国の厳しい財政状況及び現在の観測地点が約21キロメッシュに1か所と言う設置基準で配置していることから増配置は難しいとの回答があった。」旨の答弁をいただいた。

アメダス観測地点での観測結果は、全国統一的な基準のものであり、気象観測以外においても幅広い活用ができる。一例として、去る2月13日の衆議院災害対策特別委員会現地視察の際の説明資料にも活用されているが、観測地点の無い栄村では村独自の積雪量が記載されている。

平成18年に気象庁に要請したとのことだが、少なくとも特別豪雪地帯に指定されている市町村には設置するように、また、自治体内で積雪量に地域差があるようなところは、観測地点を2ヶ所にしていただけるよう、与野党の関係者、豪雪対策に関係する省庁大臣に要請を行うべきと考えるが、危機管理部長に伺いたい。

A(危機管理部長)アメダスは、気象業務法に基づき気象の予報、警報の発表を行うために気象庁が一定の基準で設置している。地域に応じた的確かつ迅速な予測、警報の発表を行うために、アメダス以外に気象レーダーなどが活用されている。平成22年12月からは、県が道路管理目的で行っている積雪量の観測値についても活用されている。局地的集中豪雨や数キロ離れただけで大きく積雪量が変わってしまうというような事象が最近多くみられる。今まで以上にきめ細やかな地域に応じた予報・気象情報の提供が求められている。アメダス観測点の増設は災害予防のみならず、住民の生活情報としても資するもの。関係各方面へ引き続き要請を繰り返して行っていく。

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雪害救助員派遣事業について

Q 雪害救助員派遣事業については平成18年2月定例会で質問をし、県ではその後制度内容の見直しをされ、平成22年度からは自然落下の屋根でも、住家の出入り口付近に落ちた雪の排雪を事業の対象に加えていただいた。

この制度は長野県が全国に誇れる制度であるが、これにより弱者世帯の冬期間の生命と暮らしが守られており、実情に合わせ制度の見直しも行っていただき心より感謝申し上げる。

県の要綱では、1日(8時間)の作業料金は11,000円とされており、その1/2が補助金として交付される。飯山市で8時間作業が行われた場合、5,500円が県から交付される。しかし、1日8時間の作業料金11,000円というのは、どう考えても雪国の相場からかけ離れている。雪下ろしは高所作業であり、大変危険を伴う。飯山市では、1日(8時間に換算した場合)の作業料金を16,000円に設定し、県補助金5,500円、受益者負担金が3,200円、残りの7,300円を市が負担している。

平成18年2月定例会で議論のかみ合わなかった論点に、この県の作業料金がある。値上げをお願いしたが、危機管理室長からは「この事業を実施している9市町村の単価は1万1千円から2万円となっている。一律に県の補助単価を上げるだけでなく独自の判断による対応も検討してほしい。」と財政力の乏しい豪雪市町村に対し厳しい答弁をいただいている。

改めて、作業単価1万1千円の根拠と値を上げるおつもりはないのか、お伺いする。

また、対象家屋は住民が生活しているものに限られ、土蔵や農機具置き場を含む物置は対象とされていない。更に、玄関から生活道路までの通路、この「けだし」の除雪も対象とされていない。なお、対象とされる作業は人件費のみとされ、ハンドロータリーや重機を使用した場合には対象とならない。人力での雪片付けには限界があり、これらを対象とするお考えは無いのか。

今冬、北海道はじめ東北・北陸・山陰と全国的に豪雪被害が広がる中、本県と同様な制度を国レベルで創設していただくよう、強く要望すべきと考えるが、危機管理部長に伺いたい。

A(危機管理部長)災害対策基本法によると、住民の身体・生命・財産を守る責務は、第一に住民に最も身近な自治体である市町村が負うとされている。雪害救助員の派遣は、市町村が雪下ろし等を必要とする世帯に救助員を派遣し、県が補助金によって市町村の財政的支援行う。補助単価のどこまでを県が補助対象とするかということについては、市町村の制度・財政状況等を充分に勘案して設定すべきものと考える。将来的には、今後益々高齢化が進行すると負担が増大していくことが考えられる。今後も市町村の声を聞きながら、適正な基準額というものを探っていきたい。補助対象の拡大については、これまでも災害対応として説明のつく部分の拡大は行ってきた。どこまでが、災害という非日常的な危機への対応ということで説明ができるのか、或いは他の災害への対応や福祉の分野との線引き、個人の財産の保護に県民の税金を投入できるのか、除雪の費用の一部にすでに交付税が算入されているようなものもあり、様々な問題を抱えている。要望の趣旨はよく分かるので、関係部局とひとつずつ検討していきたい。

国への要望については、今冬のような豪雪の場合は災害救助法を適用することになる。また、特別交付税或いは交付金を国へ要求していくことになる。しかし、高齢化の進行とともに支援するべき世帯が増えていくという中で、国や県の補助に頼らなくても、住民の安全を守るという市町村の基本的責務を自立的に果たせるような制度設計をしていくことが、地方分権の観点からも必要だと考えている。

先月、国への要望活動をおこなった際にも、要望してきた。今後も機会を捉えて国へ提案していきたい。

  「個人の資産は、その個人の責任と努力において管理する」のが原則であり、自宅の屋根の雪についても、自分で処理するのが当然でしょう。しかしながら、高齢などのために自力で雪下ろしができず、作業を頼もうにも十分なお金がなく、さらには親族からの仕送りなどの援助が受けられないという世帯も、現実に存在する。この事業制度は「弱者世帯」の冬期間の生命と暮らしを守るため、屋根の雪下ろしなどの支援をする「福祉の制度」でもあると理解している。

80歳にならんとするお年寄りが高い屋根に上がり、身の危険を顧みず雪下ろしをする光景を幾度も見てきた。自分の家だから当たり前と言ってしまえばそれまでだが、戦前・戦中・戦後と家族・郷土・国家のために人生の全てを捧げた先人達の老後をあたたかく見守り、その生活を支えることは我々世代の責任であり、政治の責任でもある。どうか豪雪地帯に住む人々の暮らしをご理解いただき、より一層の見直しを図っていただくようお願いする。

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スキー教育について

Q 明治45年(1912年)に当時の飯山中学校の市川達譲先生により新潟県高田から長野県飯山にスキーが伝えられ、今年で100年となり県内各地でスキー伝来100周年を祝う行事が行われた。

スキーは雪国の生活・文化に大きな影響を与えた。日本最初のスキー製造会社が飯山に生まれ、戸狩地区では昭和30年頃からいち早く民宿が始められ、心温まるサービスで多くのお客さんにご利用をいただいてきた。

学校教育にもスキーが取り入れられ、昭和3年(1928年)には小学校(高等科ですが)スキー大会が現在の長峰運動公園で開催され、昭和26年(1951年)には長野県内のスキー場を視察中の高松宮さまをお迎えし、第1回北信中学校スキー大会を開催している。学校でのスキー遠足や校内のスキー大会等、スキーが教育の中にも巧みに取り入れられてきた100年でもあった。

しかし、近年スキー人口は減少し、地域経済にも暗い影をおとしている。また、市内の小学校ではスキーを教える先生が居らず、やむを得ず地元の皆さんが子供たちにスキーを教えているケースもあるとお聞きし、些か寂しさを禁じえない。

スキー100周年を踏まえ、これからを展望したときに、「スキー王国ながの」に恥じない教育をスキー競技技術の向上はもちろん、スキーの歴史、スキーが地域に与えた影響などについて、学校教育の中でもっと子供たちに教えていくような仕組みをつくるべきではないか。

A(教育長)地域の伝統的な生活文化についての学習は、学習要領では小学校や中学校では社会科の授業や総合的な学習の時間に行うことができるようになっている。飯山市の小学校では、「スキー発祥と地域の歴史に関わって」を総合的な学習の時間に行っている。スキー伝来100周年に関わって、飯山市で「スキー伝来100年誌」を製作、北信州スノースポーツ活性化協議会でDVD「信州のスキー100周年」を製作されているので、情報提供を行っていきたい。

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道路の消雪施設について

Q 飯山市福寿町地籍にある無散水消雪施設は設置後14年が経過し、道路の消雪に威力を発揮してきた。ところが今年1月から機能しなくなり、修繕し経過をみているところである。
このような事態が起こることのないように強く要望をするとともに、万が一、施設が故障した場合、除雪・消雪をどのように行うお考えか。

無散水消雪施設は、維持管理費が高いため、新規施設の設置費用確保が厳しいというが、今後は行わないのか。また、既存の施設の維持管理、更新事業をどのように進めるか。

A(建設部長)無散水消雪は豪雪地において、道路交通安全対策に非常に効果が高く地域の皆様に喜ばれている。冬季前には施設点検や試運転を行い、稼働状況を確認している。福寿町地籍の場合は点検により障害を発見できず、地域の皆様には大変ご不便をおかけした。現在は施設の修繕を行うとともに、冬期の修繕が困難な箇所については、機械除雪も併用しながら対応している。今後は事前の点検や維持管理を十分行うと共に、故障した場合は速やかに回復に努めていく。

無散水消雪の設置費用は、概ね7億円/1kmかかる。維持費も除雪費と比べ約5倍と大変高額。これまでは国庫補助の基準に該当する道路の縦断勾配6%以上の急な箇所、交差点・人家密集地区など厳選して設置してきた。ここ数年は施設の更新が中心となっており、厳しい予算状況の中で新設はほとんど行われていない。新設については、緊急性や必要性等充分考慮のうえ検討していく。既存の施設の維持管理・更新については、平成24年度に道路施設長寿命化修繕計画を策定し、それに基づいき順次計画的に事業を進めていく。

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除雪車両の更新について

Q 国道など通行量の多い道路での除排雪作業は、夜間・早朝に行われる。ロータリー除雪車とドーザー・グレーダーがチームを組んでの連携作業で行われ、その威力には長年豪雪地帯に住み慣れた私でも感心し、有り難いことと思う。一部の地域では除雪車両が不足して困っているということも聞いているが、県管理道路におけるこれらの配備状況はどのようになっているのか。県の財政状況が厳しくなっているとは言え、適切な時期に更新を計画的に行い、除雪に備えるべきと考えるが、県の除雪車両の更新の基準や増強の考え方について伺いたい。
真夜中に出動し一日中除排雪作業を請け負っているのは地元の建設業者の皆さんである。しかし、公共事業の減少や民間発注の落ち込み等により、厳しい経営環境の中社員を削減し、重機も手放すなど、以前の体力は最早なく、このような状況下では有事の際に機動力を十分に発揮することは不可能である。

平成18年2月定例会でも質問致したが、土木部長からも「地元業者の生き残りは必要」との明確な答弁をいただいている。豪雪や地震等の自然災害への対応には、地理・地形を熟知した地元建設業者の協力が不可欠である。「不要であっても公共事業を行え。」などとは言わないが、本郷、寺島議員の知事答弁にもあったが、地域の建設業者が十分に力を発揮できるような、制度設計を具体的に進めていただくよう強く要望する。以上、建設部長にご所見を伺いたい。

A(建設部長)県の管理総延長の約9割にあたる4,500kmに除雪・凍結防止剤散布を行っている。ロータリー・除雪グレーダー・除雪ドーザー・凍結防止剤散布車等、県全体で1,329台の除雪車両が作業にあたっている。このうち県保有車両627台、民間保有車両702台。除雪車両の配備については、降雪量や気温等の気象条件、除雪延長、過去の実績等を考慮して配備している。

雪の多い大町・長野・北信の3建設事務所については、県全体の4割499台を重点的に配備している。短期的に降雪のあった平成18年の場合には、各建設事務所間の応援体制をとり、配備を補強する等行っている。

除雪車両の更新については稼働時間、故障の度合い、老朽状況等勘案し、順次更新を進めている。それぞれ車両によって差はあるが、ロータリー12~15年程度、ドーザー13~15年程度経過したところで更新を行っている。更新した古い車両についても、可能な限り予備車として配置、或いは雪の少ない事務所で活用する等、配備の強化を図っている。今後県としては、汎用性が少なく民間で所有しにくいロータリー除雪車等の特殊車両について更新・補強を進めるとともに民間の除雪車両も活用していく。

 

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山間部地域における集落機能の維持・再生について

Q 豪雪地帯の雪片付けは人力だけでは限界があり、高額な小型除雪機はもはや各家庭の必需品となった。また、雪下ろしを依頼するには当然お金が必要で、更に、雪を雪捨て場に持ち込むにはダンプカーと運転手をお願いすることになり、多額の経費が必要となる。このような労力とお金は、雪の降らない地域にあっては不要であり、一方、豪雪地帯に住む県民は多くのハンディを背負いながら、ひたむきに日々の生活を送っていることにご理解をいただきたい。
従来、県の行う豪雪対策は主に幹線道路の除雪等であったと思うが、住民の更なる高齢化を踏まえ今後はもう少し踏み込んだ対策が必要と考える。

特に山間部の地域は、年々進む高齢化と一人暮らしの家庭の増加により、このまま放置したならば、そう遠くない将来集落は崩壊・消滅してしまうのではないかと危惧している。このような集落を維持することは行政効率の面からは様々な課題があるものの、人々の作る水田や森林により、山崩れや洪水の防止、また、水源はじめ地域の環境が保全され、それにより下流域の安全が守られるということもまた事実である。

県として、今後このような地域をどのようにして守っていこうとお考えか、知事の見解をお伺いしたい。

A(知事)栄村の地震を受けて、豪雪地の栄村へは何度も行っており、その度に高齢者が苦労をして屋根の除雪等をされている姿を何度も間近で見ている。雪国の暮らしに寄り添って色々なことを考えなければならないと痛感している。

豪雪地のみならず長野県の中山間には大勢の人が暮らしているわけで、その人々の暮らしを支えていくことは、県として考えなければならないテーマだと思っている。中山間地域の暮らしを支えていく上で、市町村との連携が大事。とりわけ小規模町村が多く、全国で合併が進んでいる中で長野県の中山間地域は、小規模な財政的にも厳しい自治体が多い。新しい自治体の形を、中山間地域を支える意味からも考えていかねばならないテーマと考えている。これから策定が本格化する新5ヵ年計画の大きな視点として取組む。

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