平成22年12月1日

豪雪地における道路交通安全対策について

Q 新聞報道によれば、長野県の代表的観光地である軽井沢町にある交差点約30ヶ所の全信号機をLED方式に交換したところ、信号付近の人身事故は7割、物損事故も4割減少したとのことである。
これは平成15年度より導入が始まった訳だが、県内におけるLEDへの交換率は全国平均の24.1%を上回り31.4%となっている。
従来の電球式は強い日差しを受けると「疑似点灯現象」を起こし、さながら点灯しているように見えるが、LED方式は反射板がなくLED自体が青や黄、赤などの光を出すため、よりはっきりと見え、電球式より見やすいことが事故減少につながったとのことである。
一方、このLED方式は熱を発しないため雪が付着しやすいという難点もあると言われているが、これにはどのような対処方法があるのか。
次に、これは(写真パネル)豊田飯山インターから飯山市街地に向かう国道117号バイパス、伍位野信号機手前から市道1-103号線へ分岐するT字路付近の写真である。

  1. 平日、17,000台/24Hの交通量があり、特に斑尾高原や戸狩温泉スキー場に向かう大型観光バスも左折する場所である。加えて、およそ3.0kmにも及ぶ長い急坂な場所であり、冬期間は降雪や路面の凍結により危険な交差点と認識している。
  2. このため、交差点の手前をブレーキをかけてもスリップしないよう、無散水融雪道路にすればと思うのだが、縦断勾配が6.0%に満たないので、設置基準に該当しないとのことである。このように、設置基準に該当しない豪雪地ならではの危険箇所が、県内には他にもあると思うが、除雪や融雪剤の散布では限界があるこのような場所への無散水融雪道路の設置についてどのようにお考えか。
A(建設部長)豪雪地における道路交通安全対策については。きめ細かな除雪作業や融雪剤の散布、無散水消雪施設や堆雪帯の設置及び雪道情報システムの整備などにより対応している。このうち、無散水消雪施設については、非常に効果が高いものと認識しているが、維持管理費が通常の除雪作業と比べて5倍以上高いことから、これまで、国庫補助事業の基準に該当する、道路の縦断勾配6%以上の急坂区間や交差点部、人家密集地区などに設置を進めてきた。今後も無散水消雪施設の設置については、維持管理費の負担を勘案し、交通事故件数が多い箇所などの緊急性の高い区間を厳選して勧めていく。

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建設産業の育成と「公契約条例」の制定について

Q 除雪体制の強化・充実をはかることは、冬期の道路交通安全対策として誠に重要であります。豪雪地における安全対策には、実際に現地を見ていただき万全を期すよう、強く要望する。
早朝職場に向かう方々や児童生徒の登校時間に間に合うようにと、真夜中の2時から吹雪の中除雪作業をする建設業者さん達のご苦労を思うとき、本当に頭の下がる思いである。また、そんな季節がやって来た。
昨日の西沢議員のお話のように、年々高齢化がすすみ熟練した除雪車のオペレーターの確保もままならないのが現実である。
工事量が激減し、やむ無く従業員を解雇し、その上低価格に泣かされ続けている建設産業の衰退が、やがては地域住民の安心安全の確保に支障をきたすのは明らかである。地域を災害から守るという観点から、建設業者の育成を今後どのように取組んでいくおつもりか、その具体策を阿部知事に伺いたい。

A(知事)本年の豪雨災害においても、県内各地で地域の建設業者の皆さんが、復旧作業にご尽力いただいた。そういう意味で県民の暮らしを支えるためには、無くてはならない存在と思っている。
地域に根ざし地域に貢献する建設企業が、将来に向けて活躍できるよう、優良な企業が報われる環境を整備してきた。建設工事等における優良技術者の知事表彰の実施、企業提案による新技術・新工法を評価、活用することにより企業の技術力の向上を支援してきた。また、中小企業融資制度資金によって経営の健全化、資金面で援助している。今後とも、県民の暮らしを確保する上で、地域にとって必要不可欠な建設産業、建設企業の支援に努めていく。

総務省の統計によると、建設業就業者数は平成9年がピークで、全国で685万人だったものが平成21年には517万人と、168万人減少しており、全産業就業者数と建設業就業者数の比率は平成9年では10.4%でしたが、平成21年には8.2%に低下している。
建設投資額も平成4年度が84兆円であったものが、平成22年度には40兆円にとどまると推計され、ピーク時の半分にまで落ち込むと思われる。
また、長野県の公共工事設計労務単価は、一時下げ止まりがみられたものの、本年度は再び低下し、大工職では平成9年度23,500円であったものが本年度16,900円となった。平成9年度と比較して28%低下していることになる。
このような建設現場の第一線で働く、一人親方を含む職人さんたちの現状をどのように認識されているか。

A(知事)熟練した技術を持たれた役割は、非常に重要であると思っている。建設投資額の減少で厳しい経営環境におかれている訳で、就業者数の減少、労務単価の低下については、十分認識している。10年の労務単価の推移を見ても、毎年、どんどん低下している一方と思っている。
地域の暮らしを守っていただく建設業の職人の皆様方の地位向上が図られるよう、総合評価落札方式では専門分野で高度な技術力を有する基幹技能者に加点することにも取組んでいる。

様々な入札制度の改革により改善された分野もある一方で、低入札価格によって下請けの事業者や業務に従事する現場労働者にしわ寄せが及び、賃金の低下を招く状況になってきていることも事実である。
千葉県野田市では、市と受注者の双方の責務を明確にし、市が労働者の作業報酬下限額を定めて、最低限の賃金を確保するとともに、公共事業の品質の低下に歯止めをかけたいとの目的で昨年9月、全国ではじめて「公契約条例」を制定した。
さて、先の知事選において阿部知事は選挙公約とも言うべき「信州底力宣言」で、雇用対策の推進をはかるうえで『労働者に配慮した契約、「公契約条例」の制定を検討する中で、労働者の生活を考慮した県の施策や事業のあり方を検討する』と謳っているが、知事は「公契約条例」をどのように認識され、また野田市のこの条例制定について、どのような評価をなさるのか?合わせて、「公契約条例」の効果はどの程度あると思われるか、ご所見を伺いたい。

A(知事)公契約条例は、公共事業あるいは一定の業務に係る労働者の労働条件改善のために、一定の効果があると思っている。
野田市、全国の自治体に先駆けて、この条例を策定した。条例制定後、建設工事についての契約事例は、まだ1件のみで、効果の実証にはいたっていないようだが、清掃業務の賃金については、改善効果があったと聞いている。
賃金や労働条件については、労使間の問題もあるので、労働界、経済界等関係機関の意見も幅広く聞きながら、公契約条例のあり方を検討していく必要があると思っている。現在、民主党で法案の検討もしているし、先行する地方自治体の実施状況を十分参考にしながら、検討を行っていく。

Q 先ほども申し上げたが、建設工事の過度な低価格競争が不安定雇用と低賃金労働者を生み出しているのは、紛れもない事実である。現場労働者の厳しい状況の改善は待ったなしである。
県議会でも、5年前に国へ意見書を提出しているが、公契約条例制定の前提として、入札制度そのものの更なる見直しが必要であると考える。
9月定例会において、知事は倉田議員の代表質問の答弁で「労働界・経済界等関係機関の意見を聞き進める」と仰ったが、早急に業界団体である建設業協会や建設労働組合連合会等と意見交換をし、公約どおり研究会、あるいは検討会を立ち上げるべく、明確な具体的作業に入っていただくよう強く要望するが、いかがか。

A(知事)私は、「公契約条例を検討」と公約に掲げた。
労働界、経済界等関係機関の意見を聞くということで、建設業協会と事務的に意見交換を始めたところである。また、公契約条例を研究するために、庁内、これはいくつかの部局にまたがる課題になるので、関係部局による研究会を立ち上げたところである。先行する自治体の情報収集や課題の整理をして検討を進めて行きたいと考えている。

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野性鳥獣被害対策(ニホンジカ)について

Q ニホンジカによる被害は、環境省のレッドデータブックで最も絶滅の恐れが高いと分類されているキバナアツモリソウが、南アルプスに生育したほぼ全ての箇所で消滅し、地表の裸地化も懸念されている。また、霧ケ峰でも県の環境保全研究所がニッコウキスゲの食害が深刻化していると報告している。
県の資料によると、平成21年度の被害額は7億1,000万円と前年に比べて0.5%増え、農林業被害額の合計16億円の44%を超えている。
八ヶ岳や下伊那の東部地域では、食べられる草はほぼ食べつくされたことにより潅木類や笹類が被害に遭い、山腹の崩壊が始まっているところもあると聞いている。このような状態になれば、雨のたびに少しずつ土砂が下流に流され、山が崩壊し、地震、集中豪雨の際、山崩れや土石流などの深刻な土砂災害が心配される。
実際、平成16年7月に東京都の奥多摩町で裸地化した所から大量の土砂が流出して町の水道取水施設に流れ込み住民の生活に支障を来たした例もある。
このような状況は災害としてその対策に当たるべきだと考えるが、県はニホンジカによる被害対策をどのように進めていくのか。

A(林務部長)平成21年度のニホンジカによる農林業被害は、分布の拡大や生息密度の増加に伴い増加傾向にあり、59市町村で被害が発生している状況。高山植物の被害等自然植生への影響や、森林の防災機能低下も懸念されている。こうした状況を踏まえて、本年度、ニホンジカの生息密度の調査を実施しており、この調査結果をもとに来年度からの年間捕獲目標を見直す等の取り組みをしていく。ニホンジカの被害対策についても県の野生鳥獣被害対策本部を通じて市町村、国、関係機関と連携しながら捕獲対策、防護柵の設置、捕獲した肉を有効活用するジビエ振興策等、積極的に進めていきたい

ある猟友会員の方は、市町村からの急な要請にもあと5年位は対応できるが、それ以降は今と同じような捕獲数の維持はできなくなるだろうと、極めて深刻に話しておられた。
長野県と同程度の生息数が確認されている兵庫県においては、年間2万頭の捕獲をしている。そして、平成22年度は更に1万頭を増やし3万頭の捕獲を進めており、そのために今年度予算を大幅に増額した。
また、高知県では狩猟で捕獲したニホンジカに1頭8,000円の報奨金を支給してこれを推進している。
長野県においては、有害鳥獣捕獲に対する支援の仕方もそれぞれの市町村の財政事情により、報奨金の額にバラツキがあり、広域的に移動をするニホンジカに対して有効な対策を行ううえで格差が生じていることから、上伊那地域や佐久地域などでは市町村と猟友会が連携協力して、広域捕獲を積極的に進めていると聞いている。
この際、県も猟友会との連携を強化して、捕獲対策に大型予算を投入するなど、集中して短期間に被害対策を進めるべきと思うが、ご所見を伺いたい。

A(林務部長)本年度から長野県猟友会に委託し、ベテランのハンターで構成する捕獲隊を組織し、被害拡大地域のニホンジカ捕獲と共に、県内各地域でのワナ等による捕獲技術の普及を始めており、集落をあげて短期間に集中してニホンジカ捕獲を実施する体制の整備に努めている。
また、猟友会の皆さんの負担軽減の為に、本年度から市町村と連携しハンター保険料など必要経費への支援を行っている。今後の捕獲たいさくとしては、複数市町村で実施する広域捕獲の促進、捕獲強調期間における一斉捕獲の促進や捕獲報奨金の支援等、一層強化していく。

また、里山の間伐を目的とし県民にご負担いただいている森林税も平成24年度をもって見直しの時期が来る。その際には様々な意見が出てくることと思うが、例えば、森林税の一部を有害野生鳥獣対策に投入できないものか?
合わせて、「みんなで支える森林づくり地域会議」等ではどのような意見が出ているのかお伺いしたい。

A(林務部長)現行の森林づくり県民税終了後の対応については、これまでの成果を検証するとともに、県民の皆様にご負担いただくことは、大変大きな課題であるので、皆様のご意見を十分に伺い、慎重に検討していく必要があると考える。野生鳥獣対策は地域の大きな課題であるので、森林づくり県民税終了に伴う見直しの中で検討していきたい。
これまでの地域会議等では、野生鳥獣被害の深刻さを訴える声が多数でており、効果的な対策を求められている。

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高次脳機能障害と子どもの脳脊髄減少症について

Q 高次脳機能障害は、交通事故等の不慮の事故やや脳血管疾患により脳を損傷したことにより発生する障害で、記憶と学習の困難をもたらす「記憶障害」、注意・集中力の低下をもたらす「注意障害」、生活上で起こる様々な問題の解決が困難となる等の「遂行機能障害」、そしてちょっとしたことでも著しい不安を示したり、逆に興奮して衝動的になったりする等の「社会的行動障害」が特徴的な症状と言われている。
高次脳機能障害は、外見からは障害が分かりにくいことから健常者との見分けがつきにくく、障害に対する社会的な認知度の低さ等と相まって社会復帰への道のりが非常に険しいと言うのが実情である。
本県においては平成14年に実態調査を行い、600人から800人おられるとのことである。
しかし、医療の進歩、パンフレットやホームページの作成等の普及啓発活動、そして社会の理解の拡大に伴い、その人数は増加していると思うが、何名くらいの方が本県におられると認識されているのか。

A(健康福祉部長)県が平成14年に実施した「高次脳機能障害者実態調査」によると、調査時点での県内の高次脳機能障害の方は、600人から800人程度と推計されている。それ以降、県では実態調査をしていないが、県内4ヵ所の高次脳機能障害支援拠点病院における相談件数をみると、平成18年度には679件であったものが、平成21年度には2,014件と非常に増加している。議員ご指摘のとおり、県内の患者数は、おそらくかなり増加していると見込まれる。

また、高次脳機能障害は社会的な認知度が低く、制度の谷間に置かれて必要な支援が受けられないといった声を聞くが、障害者自立支援法における位置づけはどうなっているのか。

A(健康福祉部長)障害者自立支援法における位置付けについては、高次脳機能障害については条文には明確な規定がない。
周知が不足している面もあると認識しているが、厚生労働省の通達では、医師の診断書により高次脳機能障害であることが確認できれば、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳がなくとも、市町村が行う各種福祉サービスが利用できるとされている。

Q 高次脳機能障害は今後も増加し、「相談支援」及び「診断」のいっそうの強化が必要である。直近の正確な実態調査をする等、更に積極的に取り組んでいただくよう要望をするとともに、次の提案をしたい。
三重県においては、国の高次脳機能障害モデル事業と連携して、機能の回復を図るためのリハビリテーションを医療機関等で適切に行い、その生活障害に対して更に地域で継続して支援できるように、診断技術やリハビリテーションプログラムの確立、地域支援システムの確立を目的とした生活支援事業を実施している。いわゆる「三重モデル」と言われている。
この事業の内容は大きく分けると「診断技術とリハビリプログラムの確立」と「地域支援システムの確立」の2つから成り立っている。
このいわゆる「三重モデル」のようなシステムを本県においても立ち上げ、高次脳機能障害に悩む方々に希望を持って生活ができるようにすべきと考える。
国においては、「障害者自立支援法」を廃止して、「障害者の範囲」を見直して「制度の谷間」のない新たな法制度を検討していると聞いているが、施行は平成25年8月となっている。
現在、長野県においては、民間を含む4つの病院を拠点病院に指定し、「相談支援」及び「診断」を行っているが、国の動向をただ見守っているだけでなく、4拠点病院の拡充や三重モデルを参考にして県独自の支援体制の強化を図るべきと思うがいかがか。

A(健康福祉部長)三重モデルは、三重身体障害者総合福祉センターを支援拠点に2ヵ所の拠点病院や地域の医療機関、市町村、社会福祉施設等の地域資源との連携の下、診断、急性期のリハビリから退院後の訓練、生活支援まで連続的に、しかも包括的に提供するものと認識している。
本県でも、高次脳機能障害については、医療・福祉の関係者でもその支援について十分な理解が得られていない。平成16年度から県下4か所高次脳機能障害の支援拠点病院を指定して、地域での高次脳機能障害支援の普及を図ってきている。それぞれの拠点病院に高次脳機能障害に関する相談支援コーディネーターを配置し、診断からリハビリ等の相談支援、福祉サービスへの橋渡しを行うと共に、医療・福祉従事者や県民を対象とした、高次脳機能障害に対する理解や支援のための研修を実施してきた。
また、県立総合リハビリテーションセンターの施設機能を十分活かし、障害者自立支援法の「自立訓練事業」の指定を受けている。施設内に模擬会社を設定し、職場での1日体験をする訓練など、家庭生活や就労に関する社会復帰に向けた訓練を行っている。
今後は、拠点病院の活動の充実を図りながら、県立総合リハビリテーションセンターの「自立訓練事業」の更なる活用を図るとともに、三重モデル等の事例を研究し、拠点病院と地域の医療機関や福祉施設等との一層の連携を推進していきたいと考えている。

Q 高次脳機能障害者の全国組織である「第11回日本脳外傷友の会 全国大会」が来年の10月14日から2日間にわたって下高井郡山ノ内町志賀高原で開催される。
長野県も過去において、この大会に参加してきたと聞いているが、どのような感想をお持ちか。また、この障害に対する理解や支援の輪を広げていくためにも、この大会がよい契機となるよう県として支援すべきと思うが、如何か。

A(健康福祉部長)本年6月に奈良で第10回大会が開催され、参加した職員がいる。大会には全国から多くの当事者が集まり、講演会やステージ発表では、当事者、家族、支援者等それぞれの立場からの話を聞くことができ、当事者のニーズと社会福祉サービスの現状について理解する上で大変参考になったという報告を受けている。来年10月に本県において第11回大会が開催されるが、県内外から多くの参加が見込まれ、県民の理解の促進や、当事者、家族の交流の促進などの面で大変有意義な大会と認識している。
県としては、高次脳機能障害の支援拠点病院と共に、実行委員会に参加し、これを契機に支援の一層の充実に努めていきたい。

Q 子どもの脳脊髄液減少症について。
これは、交通事故やスポーツの衝撃で髄液が洩れるなどして、頭痛やめまい、だるさといった様々な症状を引き起こす病気である。子どもの場合、学校でのちょっとした外傷が原因となることがあるそうだ。
しかし、このような症状が出ても知識のない周囲からは、「怠けていて、学校に行かない」と言われ、大変辛い思いをしている子どももいるようである。
治療法としては、硬膜の外側に自分の血液を注入する「ブラッドパッチ」が有望とされているが、保険が適用されず入院費を含めると1回10万~30万円程度かかり、その負担は家計に重くのしかかっている。
平成19年5月、文科省より「学校におけるスポーツ外傷等への後遺症の適切な対応について」と題しての通達があったが、どのような措置がなされたのか。

A(教育長)平成19年5月31日付で文科省から「各学校において、必要に応じ、養護教諭を含む職員が連携しつつ、個々の児童生徒等の心身の状態に応じ、学習面を含め学校生活の様々な面で適切に配慮するよう」通知が出された。
県教育委員会では、この通知を市町村教育委員会等に周知すると共に、同年11月に開催した「養護教諭研究協議会」おいて、内容について周知徹底を行った。この中で脳脊髄減少症研究会ガイドライン作成委員会により作成された「ガイドライン2007」についても触れ、その症状、診断、治療等についても周知した。

また、潜在患者数の把握を含め実態調査はしているのか。

A(健康福祉部長)県内における潜在患者数については、現状では疾患の定義が未確定であり、症状が疑われる患者も存在することから、全体の把握はできていない。平成22年11月「脳脊髄液減少症」の診断可能な17病院に照会したところ、確認できた県内の患者数は44人。

各都道府県教育委員会主催による、学校現場における脳脊髄液減少症についての研修を行っているのは、47都道府県中12しかないと聞くが、本県の状況はどうなっているのか。いずれにしても、教職員、保護者の皆さんにも、研修が必要と思われるが、どのようにお考えか。

A(教育長)平成19年11月に開催した「養護教諭研究協議会」おいて、各学校の養護教諭に対し文科省通知の内容について周知徹底を図った。本年度、厚労省が脳脊髄液減少症の検査を保険適用とする見解を示した。これを受け11月の「養護教諭研究協議会」において、各学校の養護教諭に対し脳脊髄液減少症の診療が可能な県内の病院の紹介を含め、再度この病気に対しての学校関係者の理解と、児童生徒への配慮を求めた。この研修により、各学校において教職員全員の理解を深めると共に、学校保健委員会等の機会において、保護者の理解へもつなげていきたい。

また、症状を和らげるには水分摂取が有効と聞いているが、授業中に症状が表れた際には、教室内で水分補給等の適切な処置ができるような配慮がなされているか。
ちなみに、飯山市においては、市内の全小中学校、保育園・幼稚園に「子どもの脳脊髄液減少症」という冊子を配布し、周知の徹底を図っています。

A(教育長)脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会により作成された「ガイドライン2007」の中にも十分な水分摂取ということが示されている。県教委としては、研修等を通じてこのガイドラインの周知を行い、学校において適切な配慮がなされるよう徹底を図っているが、各学校において教職員全員の理解をさらに深めるよう、その方法を含め改めて検討していく。脳脊髄液減少症は現在のところ、診断や治療の基準が確率しているとはいえない状況なので、今後も学校に対して最新の知見に基づく情報を提供していく。

医療保険適用外となっていることから、飯綱町では中学生以下を対象に、療養を受けた場合治療費の3割程度を町が給付金を支給するという条例改正を本年6月定例議会で採決したと聞いている。
このような市町村に対し県としても積極的に支援する必要があると思うが、如何か。

A(健康福祉部長)現在、患者会では「脳精髄減少症」の治療促進として「ブラッドパッチ療法」の保険適用を強く求めている状況であり、また、日本脳神経外科学会などの関係学会により組織された「脳脊髄液減少症の診断・治療法の確立に関する研究班」の中で、診断基準等の作成に向けた研究が進展し、今年度中にも中間報告が示されると聞いている。
また、本年4月に、厚生労働大臣から平成24年の診療報酬改定の際に「ブラッドパッチ療法」の保険適用を検討するとの見解が示されているので、県としては引き続き国や学会の動向を注視していく。

昭和36年の全国交通事故発生件数は49万3,693件あり、死者は1万2,865人で、この数は日清戦争の戦死者1万3,164人に匹敵するとし、はじめて読売新聞が「交通戦争」という文字を新聞記事に掲載した。以来、昭和45年をピークに死者数は減少し、平成21年には57年ぶりの4000人台、4,914人となったが、事故の発生件数は73万6,160件もある。
裏を返せば、不慮の事故に遭い、救命救急の適切な処置により一命をとりとめたとしてもこれらの後遺症が残る方々は、今後ますます増えると予測される。更なる県民への啓発活動と具体的支援の強化を強く要望する。

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