平成20年11月定例会一般質問をPDFで見る[291KB:別窓で開きます]

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高校再編について

Q.飯山市内では、これまで三つの高等学校がそれぞれ歴史を築き、特色のある教育実践によりその使命を果たし、多くの有為な人材を育んできた。しかし、少子化に伴う学校の小規模化という現実を前に、県教育委員会による教育改革プランの公表に際しては、地域のよりよい教育環境づくりのため飯山照丘高校と飯山南高校の統合による飯山高等学校の設立、さらに飯山北高校との二次統合にむけていち早く地域合意を果たし、様々な思いはあるもののその推進に全力を注いできた。
一方、二次統合により飯山市内の高等学校がひとつになることから、地元中学生の進学や入学後の指導についての不安が地域の中にある。
それぞれの高校が果たしてきた役割を継承し、地域の子供達を地域で育て、社会を支える人材を育てていくという理念のもと、地域の信頼に支えられた飯水岳北地域の教育拠点たる学校づくりが進められることを切に願うものである。三校による統合準備委員会において、二次統合後の飯山高等学校の骨格が固められ、又県教育委員会臨時会においても、11月18日正式決定がなされた。
飯山高校が子供達をはじめ地域住民や同窓生の願いに応え、地域の誇りとする学校になるよう、より一層のご理解とご配慮を賜りたく、改めて次の質問をする。
これまでは募集開始年度は、平成25年であったと思うが、平成26年に延期となった理由は?

A.(教育長)平成19年6月の改革プランの今後の進め方では、飯山北高の校舎改築等の教育環境の整備を行いながら平成25年頃を目途に準備を進めるということだった。新校が1学年6学級でスタートするには、旧第1通学区の中学卒業者数の減少が予想される平成26年以降が適当であり、地域の声や北校の校舎整備等を勘案する中で平成26年度から募集開始することがベストと判断した。

三校の特色をどう活かし、オールラウンドの高校として学校格差の解消にどう取り組むか?

A.(教育長)新校にはこれまで飯山の三校に通っていた生徒が入学することを想定しているので、生徒の様々な個性や能力、進路希望に対応したオールラウンドな高校作りを行う必要がある。これまでの三校の特色を更に発展継承し、新しい学科の設置や幅広い学力と進路希望対応した新しいシステムの導入を考えている。
様々な個性の生徒が同じ校舎で学ぶことにより、クラブ活動や生徒会活動が活性化し、お互いに切磋琢磨する環境づくりや地域としての一体感を醸成する学校づくりを進めていく。

それらに向け、どのようなカリキュラムや教職員の配置がなされるのか?学科・学級数及び生徒の募集範囲はどのようになされるのか?

A.(教育長)二次統合の飯山高校は、普通科3学級、スポーツ科学科1学級、探求科2学級の1学年6学級規模の学校を設置する。
普通科では生徒の学力幅に対応するため、1年次にはよりこめ細やかな英数の習熟度別授業、2年次以降には生徒の希望に沿った幅広い進路指導を。
スポーツ科学科は体育理論とそれに基づく科学的トレーニングの研究等、スポーツ実技以外の学習も充実させ、先進的な競技者や指導者の育成を目指す。
探求科は本県初の新たな学科となるが、語学力を強化すると共にゼミ形式の課題研究を通してディベート、プレゼンテーション等のコミュニケーション能力や自ら課題を見出だし解決する科学的な態度と創造的な能力を高め、更なる学力の伸長を目指す。スポーツ科学科は全国募集、本県初の探求科については、全県募集を検討している。
教職員の配置については、オールラウンドな学校の運営に支障がないように配慮し、地域の皆様方の期待に応えられる飯山高校になるよう最大限努力する。

三校統合にふさわしい施設整備が、どの程度行われるのか?

A.(教育長)現在三校の教職員と事務職員をメンバーとする新校舎建設準備委員会で現場の意見を聞きながら、新校の目指す教育課程を実現するためにどのような施設整備が必要か検討中。より良い教育環境を実現するため、県財政の厳しい折ではあるが鋭意努力していく。

照丘高校と南高校の校地・校舎の跡利用についてどのようにお考えか?

A.(教育長)今年度末閉校を迎える照丘高校の跡地は、飯山市へ統合中学校の用地として譲渡を予定。中学校の統合に支障無く譲渡ができるよう、事務レベルで具体的な協議を進めている。南校の跡地についても飯山市から譲渡希望の意向を聞いている。施設の有効活用の点からは、学校施設として活用することが望ましいと考えているので、新しい飯山高校の整備と共に飯山市と協議を進めていく。

県の財政も大変厳しいが、平成26年の募集開始時期は厳守していただくようお願いする。又、照丘・南校の跡地利用につきましては、飯山市の中学校再編計画に絡めての要望もあるようなので、ぜひ迅速且つ前向きにご検討いただきたい。
いずれにしても、将来にわたり飯水岳北地域全体の高校教育のあり方について、地元小中学校の現状等も踏まえ、地域の教育要望を聞きながら明確な指針と展望を持った教育施策を講じていただくよう、強く要望する。

広域観光について

Q.去る6月議会にて提案した「〇県債」の活用によるゴールデンウィーク前の区画線の引き直しなどについては、今回の「道路橋梁維持修繕事業」予算に盛り込まれた。6年ぶりとのこと、大変感謝する。春一番、信州にお出でになる観光客の満足度アップにつながり、観光振興の一助になることと確信する。
平成19年度 地域発元気づくり支援金活用事業の優良事例、知事表彰のひとつに飯山市のNPO法人信越トレイルクラブが選ばれた。(中略)
平成17年7月には、長野・新潟両県にまたがる関田山脈の南起点、斑尾山から天水山までの80kmのうち50kmが開通となり、本年には残り30kmも整備され、本年9月には久保田観光部長にもご出席をいただき、盛大に斑尾高原にて全線開通記念式典が開催された。(中略)
利用者数も平成18年の5,000人に対し、19年には15,000人と3倍になっている。飯山市、栄村をはじめ近隣市町村においてトレッキングの整備が進み、また、新潟県側でもかつての峠道を復元する活動が行われるなどルート沿線の市町村や公共団体の整備への参加や活用が広がりつつあり、今後、全国的にもますます注目されるものと思われる。さらに長野・新潟両県を結ぶ成長が見込める観光資源として大いに期待が持たれる。
今後は利用者の立場からトレッキングを楽しむための環境整備・広域的な利活用・管理運営の仕組みづくりなど、信越トレイルを地域の貴重な財産と認識し、協力しながら守り育てていくためにどうすべきか、新たな北信州活性化のための活力源としてどう活かしていくべきか、更なる飛躍が望まれる。
その為には、新潟県との連携が不可欠であります。新潟県では、もうすでに新潟県上越振興局が事務局となり、産業労働観光部をオブザーバーとし「新潟県信越トレイル利用促進連絡会議」を立ち上げ各種団体と連携し、積極的な利用促進事業を展開している。

長野県として新たな観光資源である「信越トレイル」をどう評価しているか?また、更に飛躍する為にはどのような課題があるのか?今後、新潟県とどのように連携し、広域観光を推進していくおつもりか伺いたい。

A.(観光部長)本年2月に策定した観光立県長野再興計画では、街道・歩く道等の地域資源を重点プロジェクトと位置付けている。信越トレイルは関田山脈を歩き、滞在型の新たな観光として広域的・有望な観光資源と認識している。
課題は起点までの交通手段やトイレなど利用しやすい環境づくり、トレイルの維持管理の方法、登録のガイドの養成等がある。北信地方事務所において周辺市町村の関係団体と共に、信越トレイルの利活用についての会議を開催し、今後の維持管理や利用促進について議論を始めたところである。8月に長野・新潟稜県知事の懇談のなか共同PR等、両県の広域的な連携について確認をした。今後も担当部局で連携し、新商品の開発に努めていきたい。

危機管理体制について

Q.平成7年1月17日、6,400人を超える尊い人命が奪われた阪神淡路大震災より14年目にならんとしている。日々その記憶も薄らいできておる中においても、この間平成16年には「中越地震」、19年3月「能登半島地震」、7月には「中越沖地震」、本年6月の「岩手・宮城内陸地震」と周辺で大地震が発生している。
地震の発生を止めることはおよそ不可能であるが、知事のおっしゃるところの、それによる被害を最小限に食い止める「減災対策」は平時の時こそ有事を想定したハード・ソフトの取り組みが大いに必要である。
去る10月26日、小諸市におきまして消防、警察、自衛隊の方々のご協力をいただき、長野県総合防災訓練が行われた。この訓練の概要、また課題・反省等を踏まえ、県民の防災意識を今後どのように高めていくのか伺いたい。

A.(危機管理部長)総合防災訓練は開催市町村と県の共催により各防災機関、住民の参加により各種災害を想定し行っている。今年は75機関、3,400人が参加した。今年は小諸市ということで従来の訓練に加えて浅間山の噴火災害も想定に入れ、DMAT、災害救助犬も参加した。今後更に、実践的な訓練になるよう工夫が必要であること、各機関の情報の共有・連携、より多くの住民が参加できるようにすることが必要と考える。 昨年より、より多くの住民が参加しやすいように日曜日に開催している。今年は1400人の住民が参加した。防災意識の向上には、このような訓練への参加等が効果的と考える。今後、より一層防災訓練の充実に取り組んでいく。

阪神淡路大震災の死者の75%は住宅や建築物の倒壊等によるものであった。家屋が半壊、一部損壊であったならば、その死者の数は半減したと思われる。
地震被害を最小限度に食い止めるには、日頃よりの家屋の補強と発生時の初動体制が明暗を分けるのではないでしょうか。
県は耐震改修促進法に基づく「長野県耐震改修促進計画」を策定し、平成18年度から27年度までの10年間を計画期間とし、耐震化の目標数値の設定や耐震化へ向け取り組んでいますが、その実態はどのようなものか?また、平成14年度から実施している「住宅・建築物耐震改修促進事業」の概要、精密診断、耐震補強工事の累計戸数の実績を伺いたい。

A.(建設部長)「長野県耐震改修促進計画」では、多数の人が出入りする一定以上の建築物については耐震化率90%、災害拠点となる県有施設は100%を目標にしている。耐震化工事が必要な一般住宅は、40,300戸。住民自らが耐震化、防災等地域の問題としてとらえ、自助努力により取り組むことが重要。所有者が耐震化に向かうように環境を整えるため、国、県、市町村が連携し支援事業を行っている。
木造住宅の耐震診断については、事業主体の市町村が行う耐震診断士の派遣に補助している。外観から判断する簡易診断と耐震化工事に移行するための精密診断とある。19年度までに簡易診断を22,451戸、精密診断を7,395戸行い、そのうち537戸に耐震補強工事の補助を行っている。

Q.住宅の耐震補強の累計が537戸ということだが、計画における耐震改修が必要な推計戸数40,300戸と比較すると、充分に進んでいるとは言い難い状況である。また、耐震補強工事の前提となる精密診断を実施した累計戸数が7,395戸であり、診断から工事への移行率は7.3%程度に留まっている。平成19年度単年でみると精密診断が1,467戸、耐震補強工事戸数が205戸で、その移行率は14%と上昇しているが、決して高い数値とは言えない。移行率が伸び悩む原因は多々あると思われるが、
補強工事を促す対策のひとつとして、工事費を安価にするため家屋全体を補強するのではなく、一部施工例えば、居間のみでも補助対象となるようなことは可能か? また、より安価な施工方法を研究する機関を、専門家を交え県として立ち上げたら如何か。

A.(建設部長)一部施工は補助対象となる。県では、「長野県既存建築物耐震化評価委員会」を設置し、より安価で工期の短期となる民間企業が研究開発した耐震14工法を認定している。更に認定を進め、ホームページ等で積極的に周知に努めていく。

診断から補強工事への移行率を上げるには、外観を見るだけの文字通り簡易診断は廃止し、その金額を精密診断に上乗せしたら如何か。そして、ただ診断するだけではなく、補強工事の必要性等の情報提供を行うようなこともやっていけば移行率もアップすると思うが?

A.(建設部長)簡易診断については、耐震診断に取り組み始めたばかりの市町村も多いことから当面継続していく。今後については検討する。

Q.阪神淡路大震災発生直後、淡路島、当時の北淡町では、地震発生直後に消防団員全員で、町内各家庭のプロパンガスの元栓を締めて歩き、生き埋めとなった人々を救出し、当日、午後5:00には自衛隊の到着を待たず、行方不明者「0」の確定をし、39名の尊い命を失ったにも拘らず、火災は1件だけであったとのこと。(中略)町内の独居老人の世帯を把握し、地域の実情を団員一人一人が周知していた。 災害を最小限に食い止めるために、地域を知り尽くしている消防団と住民との密着した連携と信頼関係が不可欠である。それらをどのようにして構築していくのか?また、大規模な災害となれば、近隣の消防団同士の応援だけでは対応できないことも予想される。消防本部の広域化とも合わせ、有事の際に全県下をカバーするような消防団の広域出動ネットワーク作りも将来必要かと思うが、如何か。

A.(危機管理部長)消防団が力を発揮するには、地域住民との連携が大切。平時から訓練を行うことにより地域住民に消防団役割、活動を正しく理解してもらい自治会や自主防災組織との連携を深めることが何より重要である。県としても県民の消防団への理解が一層進むよう広報に努めていく。消防団の広域的な連携についてだが、消防団の基本は「自らの地域を自らの手でまもる」ということ。遠隔地への応援については、機動性に優れ装備も充実している消防の緊急援助隊や警察、場合によっては自衛隊の災害派遣等を効果的に機能させることが重要である。消防団については、近隣の市町村で相互応援協定等を結んで出動することも多くある。今後、消防本部の広域化を契機として各市町村が応援協定を結んでいくことがネットワークつくりにつながっていくものと考えている。

林業公社について

Q. 昭和34年より水源林の整備、地域振興等のニーズに対応して分収方式による森林造成を推進するため、林業公社は全国各地で設立され、現在、全国36都道府県に40公社があり、約40万haの森林が造成されている。
しかし、借入金で植林を進めた結果木材価格の下落で返済の目途がたたず、「借金が借金を生む」状態で長期債務の全国合計は1兆400億円にのぼり、昨年は、岩手県と大分県の林業公社が解散し、今後は神奈川県もその方向とのことである。問題は解散しても借入金は県が肩代わりをしなければならないことである。
長野県も各種外郭団体の見直しを図る中で、平成16年6月 林業公社を廃止し県行造林に移行する旨の方針が固められ、同年9月 改革実施プランにより、条件が整い次第公社を廃止する決定がなされました。しかし、その後、本年1月経営改善を図り存続することとなった。
改めて、この間の廃止から存続にいたるまでの経緯、又現在の林業公社の概要、経営改善集中実施プランの内容について伺いたい。

A.(林務部長)平成16年の改革プランの中で、林業公社については、借入金が大きく厳しい経営状況にあることから、県行造林への移行を含め県貸付金債務の早期清算等の方策を検討し、条件が整い次第公社を廃止し県行造林へ移行する決定。その後、3年を経過し社会情勢の変化、国の支援制度の変化・充実等が見られたことから、平成19年「行政機構審議会」において再度検討され、本年1月に改革プランの改定版が出された。収入間伐の積極的な実施や分収林の見直し等経営改善を図ることを条件に、存続団体へ変更された。
林業公社の概要だが、経営面積約15,000ha、社員は市町村等65名、契約者数は3,800人、職員は県からの派遣4名を含む11名で行っている。廃止団体とされた平成16年以降、低利資金への借り換え、高金利資金の繰上げ償還による利息の軽減化、収入間伐の促進等の経営改善を進めてきた。長期債務が約300億円に及んでいることから、一層の経営改善に取り組んでいくため「経営改善集中プラン」を策定し収入間伐の促進、分収率の見直しの推進、森林の評価と木材生産適地対策の推進を柱に、市町村と関係機関の協力を得て合理化を進める。

約300億円の長期債務があるが、この発生原因、直接事業費、間接事業費等、債務の中身はどのようなものか?

A.(林務部長)債務の発生原因は、契約満了時の伐採収入により森林の育成にかかる費用を賄う分収林の制度上、育成にかかる費用は長期借入金に依存せざるを得ない仕組みになっている。長期債務の約4割の120億円が森林整備に要した直接事業費、180億円が借入金利息、償還金、一般管理費等の間接事業費。債務の内訳は旧農林漁業金融公庫(現、日本政策金融公庫)からの借入金が約100億、県からの借入金が約200億円。

5年間のプラン(経営改善集中実施プラン)により、68年後の平成88年度には約50億5千万円の債務残高が約27億4千万円に半減するとのことですが、この返済原資の根拠は? また、残ったこの債務はどのように返済するのか?

A.(林務部長)返済原資の根拠についてはプラン策定時に、現在の木材価格や労務単価を基準とした販売収入、補助金等の収入、分収率等の見直しにより予測した結果に基づくものである。最終的に残る債務は、全て県からの借入金となることから、今後とも定期的に経営方法の見直し、その時点における木材価格の動向を注視し、検証しつつ経営改善をすすめ含み損が生じないよう更に取り組んで行く。

経営改善により、金額にしていくらの合理化策となるのか?
又、この項目を具体的にどうすることによりそれが可能となるのか?

A.(林務部長)経営改善策として最も大きな期待をしているものは、分収率の見直し。これにより38億円の収集増を見込んでいる。この具体化のために公社職員が全ての市町村に出向き説明を行い、先ずは大きな面積を占める公有林の同意をとるべく努めている。最小のコストで最大の収益を得られるよう、全ての契約地を見直し、成長が良好な箇所については従来通りの施業を行うが、成長不良な箇所については必要最小限の施業に留めるようメリハリをつけると共に、獣害などにより著しく不良な状況になった箇所については、契約解除の取扱とする等、所有者と調整を進めている。これらを総合的に実施することにより約23億円の合理化を見込んでいる。更に公社の設置が国策により進められたことから、国への支援拡充を全国都道府県と共に行っていく。

Q.収入間伐の売上額は平成16年~18年の3年間で約2000万円(59ha)であり、これをベースに考えると、平成20年~24年までにおよそ1億円位の収入にしかならない。年間発生する費用は3億円だが、この状況で果たして経営改善ができるか?

A.(林務部長)今後しばらくは育成期間にあたることから、費用が収入を上回る期間が続くが、平成33年から伐採収入が本格化することから、平成39年をピークとし累積債務が減少する見通し。

分収造林契約期間が70年であっても、債務を返済するのに68年もかけることは、将来に負債を先送りするだけで、契約期間と債務超過期間が同じということが、果たして経営姿勢として成り立つものか?

A.(林務部長)林業公社の分収造林制度は長期的なバランスをとることが大事だが、健全な森林作りを通じ水源涵養等の公益的機能を発揮することや、その課程を通じ山村振興に寄与することが当初の設立目的でもあり、その役割は充分果たしてきたものと考える。

経営改善策の主たる項目の分収林率の見直しは、山林持ち主のかなりの抵抗が予想されると思うが、その対応策はどのようなものか?

A.(林務部長)分収率の見直しについては、面積の約60%を占める公有林や団体林の影響が大きいことから、先ず市町村有林から同意を得、地域のコンセンサスを形成した上他の所有者にも働きかけを行うこととしている。すでに、全ての市町村への説明は終了し、現在実行時期等の細部について詰めている段階。

公社は廃止となったが,岩手県と大分県は共に森林県で岩手県は合板企業向けに素材を集めて供給する組合を作り、年間契約で大量に木材を集出荷している。大分県は日田森林組合が集材から製材まで取り組んで全国のモデル事例にもなっている。
他県のことで恐縮だが、両県は県営林に移行した際にどのように公社の負担を県が肩代わりしたのか?また、税金の負担はどの程度あったのか?

A.(林務部長)大分県、岩手県での県の負担については、両県とも林業公社の債務について立木の持分権についての代物弁済により県が債務を引き受けている。
林業公社の廃止に伴って莫大な手間やコストがかかっており、全ての事務が完了していないため、これに伴う税金の負担については分からない。

また、この度総務省は経営が悪化した第三セクターなどの事業整理の際、破産手続きで地方自治体が三セクの債務を肩代わりする場合、地方債を発行して充当できるようにする方針を打ち出し、来年度からの運用を目指すということだが、林業公社がこれに適用となるのか。

A.(林務部長)林業公社についても検討中と聞いている。

Q.「林業」は、果たして純粋な意味での「業(なりわい)」であるか?
造林を収益事業としてのみ見れば思い切って公社を解散・撤退せよという考え方も当然である。しかし、それだけで評価してしまうのも、視野が狭いのではないか?今、公社が抱えている問題は正に長野県の産業である林業をどうするのかという視点から解決されるべき問題ではないのか?
路網の整備、間伐の推進、担い手の育成、製材や合板の木材利用、枝葉のエネルギー利用、県産材住宅への財政支援等、総合的な視点から林業公社の問題を考えないと68年後の孫の世代に債務を残す政策しかでてこないのではないか?この経営改善プランがより実効性のあるものになるよう、心より願っている。

ロシアの丸太輸出関税率引き上げ延期について

次に、木材需給に関して伺いたい。
ロシア政府が打ち出していた、来年1月からの丸太の輸出関税率を80%に引き上げる方針が、プーチン首相の意向により1年先に延期になったと新聞報道があった。今後1年間の猶予期間があるとすれば、県内木材産業界への影響はあるのか、また、近い将来、ロシアの丸太から国産材へのシフトが進む中で、長野県産の木材の需給対策を、林務行政側として今後どのように進めていくのか?

A.(林務部長)ロシアの動向に関わらず長期的な視点に立つならば、国内産がベスト。地域材の活性化と多様な流通対するシフトの構築に取り組んで行く。

Q.ひとつの方法論であるが、合板企業はロシア材の代わりに国産材の安定供給を求めていることから、原材料仕入れの際には長期契約を望むと思う。企業と年間の取引量と価格の交渉をし、価格は毎年見直し3年あるいは5年の長期契約をする。合板企業は製材業と違い、末口14cm以上の丸太であれば利用できるので皆伐で出た細い材も立米単位で買うものと思う。したがって市場より平均で高く販売でき、定期的に一定量が搬出されれば合板工場への運送も大型トレーラーをチャーターでき、物流費も下がるはずである。(中略)
木材資源の成熟に伴い、本格的な主伐期を迎えることから、しっかりとした将来構想のもとに、木材産業が益々発展するとともに、林業公社も本来の役割を果たすことを期待する。